本研究ではへパラン硫酸が半月板変性に及ぼす影響について検討を行ってきた。まず、変性した半月板をSulf-1の免疫染色したところ、Sulf-1は血管豊富なouterと変性が進んでいるinnnerの領域で多く発現が見られた。次に野生株マウスを用いて加齢変化に伴う半月板の変化を24カ月齢まで観察した。Sulf-1は術後3カ月までの発育期には半月板全体で発現が見られたが6カ月以降は表層にわずかに発現するのみであった。その後、2歳齢では変性した領域に再度発現が見られる様になり、Sulf-1が半月板の恒常性に関わっていることを示唆する結果であった。 次に半月板変性のメカニズムとして、II型コラーゲンに着目した。半月板のinnner細胞は軟骨様の性質を持っていることから、ATDC5 cell lineを用いて、Sulf-1がシグナル調節に関わっていることを明らかとした。また、縫合不能な半月板損傷に対する治療として半月板scaffoldの開発を進めた。そのscaffoldは初期強度としてstress-strain curveが正常ぶた半月板と似ていることを確認し、半月板に機能である衝撃吸収にふさわしいscaffoldの仕様が出来上がった。また、細胞導入の評価でも、多くの細胞が1週間以内にscaffold内に移動、増殖していく傾向にあることがわかった。今後scaffoldがより半月板再生を促進させる様にDDS機能を持つ様に今後へパラン硫酸を中心に検討を深めていく予定である。
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