研究課題
メカニカルストレス下における骨構成細胞間コミュニケーションの分子調節機構を解明することを目的に研究を行っている。平成31年度は、破骨細胞が活性化した状態でanabolic agentを投与したときの骨代謝動態を解析した。動物はAldehyde dehydrogenase 2遺伝子欠損(Aldh2KO)マウスを用いた。我々は、Aldh2KOマウスは、野生型マウスと比べて骨形成能が高く、骨組織において副甲状腺ホルモン受容体(PTHR)の発現が高いことを明らかにしてきた。卵巣摘除(OVX)により破骨細胞が活性化した骨粗鬆症モデルを用いて、Aldh2欠損マウスに対するPTH投与の効果を明らかにした。8週齢雌のAldh2 KOマウスと野生型マウスにOVXを行い、PTH投与群、Vehcle投与群の2群に分けた。14週齢より4週間にわたって、PTHまたはVehcleを40μg/kg/日、週5回、間欠的に皮下投与した。その結果、microCTでは、KO群でのみPTH投与により骨量、骨梁数、骨連結度の増加、皮質骨幅の有意な増加を認めた。海綿骨領域の骨形態計測では、KO群はPTH投与による骨量、骨梁数の増加、骨石灰化速度の亢進を認め、皮質骨でも同様に、KO群でのみ骨石灰化速度の亢進を認めた。また、RT-PCRにて、KO群でのみhPTH投与によりPTHR発現亢進とp21発現低下を認めた。破骨細胞が活性化した骨粗鬆症モデルにおいて、Aldh2KOマウスは、野生型に比べ、PTHの間欠的投与による骨芽細胞分化と骨石灰化が促進した。その機序として骨組織におけるPTHR発現亢進とp21発現低下が関与していることが示された。
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