塩酸ランジオロールは周術期管理に有用な短時間作用性β遮断薬であり、ハイリスク患者における低用量投与の有効性の報告が漸増している。しかし、現在はハイリスク患者における薬物動態パラメータが不明であるため、血中濃度が増加しているのか、感受性が増加しているのか明らかになっていない。そこで今回は、健常人の薬物動態パラメータ(PKP)を用いて標的濃度調節持続静注(TCI)システムを利用して、実際の心臓外科患者への投与を行い、ハイリスク患者のPKPの算出を行うことを目的としている。健常人のPKを用いたTCIシステムを利用して、実際の患者への投与を行った。計画通りの投与を行うことが可能で有り、血圧変動・徐脈などの合併症を来すことなく、安全に実施が可能であった。また、実際の採血を行い、予定通りのタイミングで薬物の血中濃度の実測の血液採取が可能であり、比較的想定内の血漿濃度であることが確認できている。今回得られたデータから算出されたPKPは、分布容積・代謝速度が異なっていることが示唆され、効果の違いの一因としてPKPが一部関与していることが示唆されている。
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