研究課題/領域番号 |
15K10508
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
石田 高志 信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (60531952)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 局所麻酔 / 神経毒性 |
研究実績の概要 |
リドカインに磁性ビーズを結合させるために、非活性化部位にフェノール基を結合させた化合物(リドカイン-1)の作成を行った。化合物の特性を評価するために、同部位にアセチルアミノ基を結合させた化合物(リドカイン-2)を同時に作成した。リドカイン-2とリドカインの薬理作用を評価するために、くも膜下カテーテルを留置したラットを作成し、薬物のくも膜下投与を行った。リドカインでは感覚・運動神経の遮断を認めたが、リドカイン-2では感覚・運動神経の遮断を認めなかった。また、くも膜下投与後、1週間では運動障害の残存や感覚障害の残存を認めず、低濃度(2%)では明らかな神経毒性を認めないことが確認された。 リドカイン-1の結合タンパク質を明らかにするためにリドカイン-1に磁性ビーズを固定化させリドカイン固定化磁性ビーズを作成した。リドカインのターゲット蛋白を同定するために、HeLA細胞を用いて研究を行った。HeLa細胞からDignam法を用いて細胞破砕液を作成した。KClバッファーにて調整した細胞は西院駅を遠心分離し、不溶物を除去した。遠心分離した細胞破砕液にリドカイン固定化磁性ビーズを混合し、結合反応を行った。結合反応後、混合液の時期分離を行いバッファーにより洗浄を行った。リドカイン固定化ビーズと蛋白の結合を、塩溶出・熱溶出により蛋白を分離させ、抽出したサンプルの電気泳動を行った。その結果、塩溶出・熱溶出ともに100,70,50,35 kDa付近に結合蛋白のバンドが見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
合成化合物の毒性評価において、低濃度では明らかな神経毒性を認めず、また神経遮断作用も減弱していることから薬理学的特性の変化が起こったと考えられる。新たな合成化合物の作成を検討したが、他部位でも同様の変化が予測されることから神経毒性の評価が困難になっている。細胞内への移行性が低下していることが予測されるため、培養細胞を用いた手法に切り替えて評価を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
培養神経細胞や単離脊髄後根神経節細胞を用いて毒性の評価を継続して行っていく。同時に、得られた蛋白のバンドからターゲットとなりうる蛋白を同定し、in vitroでの毒性の評価および拮抗薬でのin vivoでの毒性変化を評価し、局麻薬の毒性を押さえる手段を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定したin vivoの薬理学的評価が困難であったため、in vitroでの評価を行っているため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は平成29年度請求額と合わせて、ビーズを用いた結合蛋白同定実験に使用するとともに、in vivo, in vitroでの毒性評価を行い、得られた成果の学会発表・論文発表に使用する計画である。
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