研究実績の概要 |
リドカインの毒性発現のメカニズムを明らかにするため、リドカインが結合するタンパク質の解析を行った。リドカインが結合するタンパク質を抽出するために磁性ビーズを用いた蛋白精製法を用いて研究を行った。リドカインの非効果部位に磁性ビーズを固定化したリドカイン固定化磁性ビーズを作成した。作成したリドカイン固定化ビーズを用いて、HeLa細胞破砕液を用いて結合するタンパク質の探索を行った。蛋白溶出方法は薬剤溶出法、塩溶出法、加熱溶出法を用いて蛋白精製を行った。いずれの方法でも結合する蛋白質のバンドが多数(50 kDa, 45 kDa, 35 kDaなど)見られた。これらの蛋白質のリドカインへの結合の特異度を明らかとするため、リドカインを用いた競合阻害実験を行った。競合阻害実験では、リドカインの量を増加させてもリドカイン固定化ビーズに結合する蛋白に特異的な変化を認める蛋白のバンドがなく、リドカイン固定化ビーズに結合する蛋白の結合が特異的な結合ではないもしくは弱い結合である可能性が示唆された。特異的な結合をする蛋白を明らかとするために、蛋白結合の微細な変化を評価可能な最適なリドカインビーズ固定化量を調べた。リドカイン固定化量の最適化を行った実験でも安定した蛋白結合を認めず、特異的な結合を認める蛋白を同定するに至らなかった。これらの結果から、リドカインの毒性発現には特異的な結合により毒性を発現するメカニズムではなく、非特異的に結合することで毒性を発現している可能性が示唆された。
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