研究課題/領域番号 |
15K10522
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
南 浩一郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70279347)
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研究分担者 |
上園 保仁 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (20213340)
宮野 加奈子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (50597888)
横山 徹 自治医科大学, 医学部, 助教 (80425321)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アフリカツメガエル卵母細胞発現系 / Gs結合型GPCR / フェンタニル / ヒドロモルフォ / モルヒネ / オキシコドン / 後根神経節細胞 / Gi結合型GPCR |
研究実績の概要 |
昨年に引き続きアフリカツメガエル卵母細胞発現系や培養後根神経節細胞を用いてGs蛋白あるいはGi蛋白とGq蛋白とのキメラG蛋白を結合したRNAを発現させ、Gs結合型GPCR(βアドレナリン受容体、ドーパミン受容体など)への麻酔薬・鎮痛薬の作用解析を行い、さらにGi結合型GPCR(α1アドレナリン受容体、α2アドレナリン受容体、オピオイド受容体に対する麻酔薬・鎮痛薬の作用解析を行った。さらにこれらに対するProtein Kinase Cなどの細胞内リン酸化酵素の関与を解析した。その結果、麻酔薬の多くがこれらの受容体へ影響することを確認できた。また、これらと並行して解析を行ってきた医療用麻薬ヒドロモルフォンのオピオイドシグナリングについての研究が進捗を見せている。これらの研究は宮野らを中心に行っておりその結果フェンタニル、ヒドロモルフォン、モルヒネ、オキシコドンは濃度依存的に電気抵抗値を上昇させ、そのEC50値はフェンタニル<ヒドロモルフォン<モルヒネ<オキシコドンの順であることが示され、オキシコドンが最も作用が強いことが示された。また、全て濃度依存的にcAMP量を抑制していた。加えて、これらの細胞内陥入を調べてみたが、フェンタニルおよびヒドロモルフォンは有意なORの細胞内陥入が認められる一方、モルヒネおよびオキシコドンでは有意な細胞内陥入が観察されなかった。各種医療用麻薬はそれぞれ異なるオピオイドシグナリングを示すことが明らかとなった。なかでも、オピオイド受容体の細胞内陥入に関して、新規医療用麻薬であるヒドロモルフォンはフェンタニルと類似した作用を示すことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アフリカツメガエル卵母細胞発現系や培養後根神経節細胞を用いてGs蛋白あるいはGi蛋白とGq蛋白とのキメラG蛋白を結合したRNAを発現させ、Gs結合型GPCR(βアドレナリン受容体、ドーパミン受容体)への麻酔薬・鎮痛薬の作用解析を行い、Gi結合型GPCR(α1アドレナリン受容体、α2アドレナリン受容体、オピオイド受容体に対する麻酔薬・鎮痛薬の作用解析を行った。さらにこれらに対するProtein Kinase Cなどの細胞内リン酸化酵素の関与を解析した。その結果、麻酔薬の多くがこれらの受容体へ影響することを確認できた。ここまでは順調にきている。これらと並行して解析を行ってきた医療用麻薬ヒドロモルフォンのオピオイドシグナリングについて研究が進捗を見せている。その結果、フェンタニル、ヒドロモルフォン、モルヒネ、オキシコドンは濃度依存的に電気抵抗値を上昇させ、そのEC50値はフェンタニル<ヒドロモルフォン<モルヒネ<オキシコドンの順であった。また、全て濃度依存的にcAMP量を抑制した。加えて、フェンタニルおよびヒドロモルフォンは有意なORの細胞内陥入が認められる一方、モルヒネおよびオキシコドンでは有意な細胞内陥入が観察されなかった。各種医療用麻薬はそれぞれ異なるオピオイドシグナリングを示すことが明らかとなった。なかでも、オピオイド受容体の細胞内陥入に関して、新規医療用麻薬であるヒドロモルフォンはフェンタニルと類似した作用を示すことが示唆された。これらの研究は宮野らを中心に行ってきたが、昨年11月より宮野が産休に入り今の所研究が進んでいないことが進捗の遅れにつながっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、宮野が産休後に研究現場に戻って実験を再開する予定である。今後は昨年までの結果を継続して発展させ、Protein Kinase Cなどの細胞内リン酸化酵素が関与の解明するためにアフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて各受容体に対する麻酔薬・鎮痛薬の影響が細胞内リン酸化酵素阻害薬(GF109203X)によって抑制されるかどうかを確認する。また、培養後根神経節細胞を用いたGPCRに対する麻酔薬・鎮痛薬の影響を解析する。培養後根神経節細胞にはサブスタンスP受容体など多くのGq結合型GPCRが存在する。これに対して麻酔薬、鎮痛薬が抑制するかどうかを細胞内Ca2+動態(Ca2+測定装置は現有)で観察する。さらに、これらと並行して医療用麻薬ヒドロモルフォンのオピオイドシグナリングについて研究を進める。現在までにオピオイド受容体の細胞内陥入に関して、新規医療用麻薬であるヒドロモルフォンはフェンタニルと類似した作用を確認しているが、これがどのような機序で差が出ているのかをさらに詳細な解析をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、宮野が産休後に研究現場に戻ってくる予定である。今後は昨年までの結果を継続して発展させ、Protein Kinase Cなどの細胞内リン酸化酵素が関与の解明するためにアフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて各受容体に対する麻酔薬・鎮痛薬の影響が細胞内リン酸化酵素阻害薬(GF109203X)によって抑制されるかどうかを確認空いてきた。また、培養後根神経節細胞を用いたGPCRに対する麻酔薬・鎮痛薬の影響を解析する。培養後根神経節細胞にはサブスタンスP受容体など多くのGq結合型GPCRが存在する。これに対して麻酔薬、鎮痛薬が抑制するかどうかを細胞内Ca2+動態(Ca2+測定装置は現有)で観察する。さらに、これらと並行して医療用麻薬ヒドロモルフォンのオピオイドシグナリングについて研究を進める。現在までにオピオイド受容体の細胞内陥入に関して、新規医療用麻薬であるヒドロモルフォンはフェンタニルと類似した作用を確認しているが、これがどのような機序で差が出ているのかを解析する予定である。次年度はこれらの計画を中心に行う予定である。
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