研究実績の概要 |
平成29年度の進捗状況。 Wistar系Rat(250-300g)を用いてpentobarbital麻酔下に、盲腸穿孔モデルを作成した。気管切開を行い人工呼吸器に装置してセボフルラン1MACの濃度で維持を行った。持続的血圧の測定と採血のために頚動脈、輸液用に尾静脈にそれぞれPE50カテーテルを挿入した。作成した敗血症モデルから4時間ごとに採血を実施しRAGEとHMGB-1の変動を時系列で追跡した。各メディエータ濃度はELLISA kitを用いて測定し、それと伴に中枢神経障害を評価も同時に行った。 中枢神経障害の、意識レベルの評価法としては、動物行動学的研究において用いられる、侵害刺激に対する逃避反応の疼痛閾値を測定することで意識レベルを評価した。急性侵害刺激は、(ⅰ)熱せられた板の上に動物をおいて回避行動発現までの潜時(hot-plate test)、(ⅱ)ガラス板の下から後肢に熱刺激を加えて回避行動発現までの潜時(paw flick test)、(ⅲ)熱刺激を尾に加えて回避反応を起こすまでの潜時(tail flick test)、(ⅳ)後肢に一定のスピードで連続的に増加する力を与えて回避反応を起こす圧力の測定(paw pressure test)、などを用いて評価を実施した。 HMGB-1とIL-1,IL-6は敗血症になった4時間後くらいから上昇し8時間後にピークとなった。IL-1,IL-6は8時間後から低下を開始したがHMGB=1は24時間高値であった。神経学的意識レベルは12時間後から変化が現れて24時間後には高度低下を認めた。 採血によって得たサイトカインの上昇ピークやHMGB-1の上昇とは神経学的所見から得た相関関係があまり観察されていない。HMGB-1以外の原因物質が意識障害との関連性がある可能性があるため、これからさらに原因を特定していくために採血データを解析する四手である。
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