研究課題/領域番号 |
15K10546
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
竹山 和秀 東海大学, 医学部, 准教授 (80256148)
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研究分担者 |
吉川 正信 東海大学, 医学部, 准教授 (90276791)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 譫妄 / 酸化ストレス / 活性酸素 / Dアミノ酸酸化酵素 |
研究実績の概要 |
譫妄は急性発症、揺らぐ経過、不注意、支離滅裂な思考と意識レベルの変容で特徴づけられ、周術期に患者の約 40% に起こるとの報告がある。手術を受けた患者のストレスに関係があると考えられているが、このメカニズムについては未だ明らかにされていない。最近の報告ではプロポフォール鎮静下の脊椎麻酔が、術後譫妄の発生頻度を低下させることが示された。アルツハイマー病患者にも譫妄が現れるが、このアルツハイマー病等の中枢神経障害の病態との関与が注目されているものに中枢の酸化ストレスがある。生体では、内因性あるいは外因性に生じる活性酸素種(ROS)などを十分に処理できず、生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、前者に傾いた状態を酸化ストレス状態と呼ぶ。本研究では酸化ストレスモデルとしてDアミノ酸酸化酵素欠損マウスを用いて解析した。Dアミノ酸酸化酵素はD体アミノ酸を基質としてケト酸と過酸化水素を発生する。(1)Dアミノ酸酸化酵素欠損マウスは野生型マウスに比べて有意に血中の酸化程度が低いこと、(2)酸化ストレスとして頭頸部への放射線照射(X線: 7Gy/fraction, 5日間照射)した場合、Dアミノ酸酸化酵素欠損マウスは野生型に比べて、組織障害ならびに唾液腺機能障害の程度が有意に高いことを明らかにした。本結果によりDアミノ酸酸化酵素欠損マウスは中枢(特に脳)での酸化ストレスモデルとして用いることが出来ることが期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において酸化ストレスとして頭頸部への放射線照射した場合、Dアミノ酸酸化酵素欠損マウスは野生型に比べて、組織障害ならびに唾液腺機能障害の程度が有意に高いことを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
アミノ酸酸化酵素欠損マウスを酸化ストレスモデルとして用いて、各種麻酔薬と術後譫妄との関連性について生化学的解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
Dアミノ酸酸化酵素欠損マウスの系統維持が困難であったため、酸化ストレス解析数が予定よりも少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度では、Dアミノ酸酸化酵素欠損マウスの系統維持に予算を使用する。
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