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2016 年度 実施状況報告書

ヒドロキシエチルデンプン製剤が侵襲時glycocalyx構造におよぼす物理的作用

研究課題

研究課題/領域番号 15K10549
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

多田羅 恒雄  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30207039)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードglycocalyx / ヒドロキシエチルデンプン
研究実績の概要

【目的】ヒドロキシエチルデンプンおよびアルブミンがヒアルロン酸ゲルへの色素拡散におよぼす影響を比較すること
【背景】周術期の血漿増量目的で使用されるヒドロキシエチルデンプン(HES)製剤が、炎症時において血管内皮表面のglycocalyx構造を弱めることにより血管透過性を亢進させる危険性が指摘されている。これに対し、アルブミン製剤はglycocalyx構造を安定化させる。本研究は、HESが多糖構造を有しているのに対し、アルブミンがタンパク質である点に注目し、両高分子がglycocalyxの成分であるヒアルロン酸構造に異なった影響をおよぼすという仮説を立てた。この仮説を立証するため、HESが、ヒアルロン酸ゲルへの色素拡散におよぼす影響をアルブミンと比較した。
【方法】0.3% 色素(Orange-G, 分子量452)を含んだ3% HESまたはアルブミン溶液 0.1 mlをUVセルに注入し、その上から0.3% ヒアルロン酸ゲル1 mlを注入した。そして、ヒアルロン酸ゲル層の吸光度(波長330 nm)を経時的に測定することにより、Orange Gがヒアルロン酸ゲル内に拡散する過程を検討した。
【結果】5h, 10 h, 24 hにおける吸光度は、3% HESでは、それぞれ0.29, 0.44, 0.64であったのに対し、3% アルブミンでは、それぞれ0.07, 0.12, 0.25であった。このようにアルブミンはOrange Gのヒアルロン酸ゲル内への拡散をHESの約1/3に抑制した。
【考察】アルブミンがHESにくらべてヒアルロン酸ゲル内への色素拡散を抑制した結果は、アルブミンがヒアルロン酸の高分子構造を強める可能性を示している。この機序として、アルブミンが有する極性基とヒアルロン酸間の水素結合が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HESが毛細血管壁におけるglycocalyxを介した水移動にどのような影響をおよぼすかをゲルモデルを用いて明らかにした。

今後の研究の推進方策

手術患者を対象として、glycocalyxの主構成成分であるsyndecanの血漿濃度を測定することにより手術中のHES製剤の投与がglycocalyx構造を弱める作用があるかを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

実験方法の変更により必要サンプル数が変更となったため。

次年度使用額の使用計画

変更された実験方法にしたがい、必要に応じてサンプル数を増加させる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Relationship between stroke volume variation and stroke volume during major abdominal surgery using arterial pulse contour analysis2016

    • 著者名/発表者名
      Sugi T, Tatara T, Kaneko T, Kaneko H, Hirose M
    • 雑誌名

      Journal of Anesthesia and Clinical Research

      巻: 7 ページ: 3-9

    • DOI

      10.4172/2155-6148.1000609

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Context-sensitive fluid therapy in critical illness2016

    • 著者名/発表者名
      Tatara T
    • 雑誌名

      Journal of Intensive Care

      巻: 4 ページ: 20-31

    • DOI

      10.1186/s40560-016-0150-7

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 輸液管理2016

    • 著者名/発表者名
      多田羅 恒雄
    • 学会等名
      日本麻酔科学会第63回大会
    • 発表場所
      福岡県福岡市 ホテル日航福岡
    • 年月日
      2016-05-26 – 2016-05-26
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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