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2017 年度 実施状況報告書

肺移植術後の気道過敏性亢進メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K10550
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

花崎 元彦  国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60379790)

研究分担者 千葉 義彦  星薬科大学, 薬学部, 教授 (00287848)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード虚血再潅流傷害 / 肺移植 / 麻酔薬 / マイクロRNA / RhoA/Rho-kinase
研究実績の概要

ラット虚血再灌流(I/R)傷害肺を用いてmiRNAマイクロアレイ解析を行ったところ、コントロール群と比較してI/R群で70種類以上のmiRNAsに2倍以上の発現減少あるいは増加が認められた。リアルタイムRT-PCR法を用いて検討を行ったところI/R群でmiR-133a-3pの有意な発現低下が確認でき、TarBase等のデータベース検索よりそのターゲットとしてRhoAが推測された。実際に、I/R群の肺組織においてRhoAタンパク質発現の有意な増加が認められた。したがって、miR-133a-3p発現低下によるRhoA/Rho-kinase系の亢進が肺I/R傷害に関与している可能性を示唆した。一方、DNAアレイを用いてI/R傷害肺における発現変動遺伝子の網羅的解析を試みたところ、アレイ搭載の27,147遺伝子のうち、コントロール群と比較して1.5倍以上発現変動した遺伝子396種 (増加153、減少243) を見出した。発現増加した153遺伝子の機能とその傾向についてGO Slim機能分類解析を行ったところ、biological processのうちresponse to stress、aging およびcell differentiationの割合が有意に増加していた。発現増加遺伝子群を用いたPathway解析の結果、Hypertrophy ModelやMAPK signaling pathway等の亢進が示唆され、比較的短時間のうちに各種遺伝子発現がダイナミックに変動し、I/R傷害がもたらされる可能性を示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

順調だが、下記に述べる通り、若干の遅れを生じている。
miRNA マイクロアレイ解析でコントロール群、虚血再潅流傷害群の比較を行い、RhoA/ Rho-kinase 系の亢進が肺虚血再潅流傷害に関与している可能性を見出したため、セボフルラン群を交えた3群の比較により虚血再潅流傷害およびセボフルランの臓器保護効果メカニズムを解明する、という明解なプランが立てられている。
ただし研究代表者である花崎が平成29年度より、川崎医科大学より国際医療福祉大学に転出することとなり研究の拠点を移した。川崎医科大学の研究室をすべて閉鎖し、転勤とともに新たな研究環境を構築する作業に時間を要したため研究が一時中断、その結果、遅延が生じた。

今後の研究の推進方策

アレイ解析結果のvalidationを行うとともに、バイオインフォマティック解析の情報も合わせてmiRNAのターゲット遺伝子を予測して実際に同定するとともに、セボフルランの効果について評価を行い、その臓器保護作用のメカニズム解明に迫る。

次年度使用額が生じた理由

(理由)概ね順調に進んだが、研究代表者である花崎が川崎医科大学より国際医療福祉大学に転出することが決まったため、研究の拠点を移すこととなった。これにより研究が一時中断、遅延が生じたため次年度への期間延長を申請した。
(使用計画)肺虚血再潅流傷害モデルから得られた標本を用い、ウェスタンブロットやリアルタイムPCRなど生化学的解析を続けるため消耗品(試薬、抗体)に用いる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Intranasal administration of recombinant progranulin inhibits bronchial smooth muscle hyperresponsiveness in mouse allergic asthma2018

    • 著者名/発表者名
      Chiba Yoshihiko、Danno Shunta、Suto Rena、Suto Wataru、Yamane Yamato、Hanazaki Motohiko、Katayama Hiroshi、Sakai Hiroyasu
    • 雑誌名

      American Journal of Physiology-Lung Cellular and Molecular Physiology

      巻: 314 ページ: L215~L223

    • DOI

      10.1152/ajplung.00575.2016

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 気道変形症症例の麻酔管理2017

    • 著者名/発表者名
      花崎元彦
    • 雑誌名

      麻酔

      巻: 66 ページ: 28-34

    • 査読あり
  • [学会発表] アレルギー性喘息モデルマウスの気管支平滑筋における Ccr3 ケモカイン受容体発現の増加2018

    • 著者名/発表者名
      玉置小百合, 須藤航, 土山美紗規, 花崎元彦, 片山浩, 酒井寛泰, 千葉義彦
    • 学会等名
      日本薬学会 第138年会
  • [学会発表] 喘息時の気道局所における PGD2 産生の亢進および その気道過敏性形成における役割2018

    • 著者名/発表者名
      須藤航, 花崎元彦, 片山浩, 酒井寛泰, 千葉義彦
    • 学会等名
      日本薬学会 第138年会
  • [学会発表] セファゾリンナトリウム製剤が原因でアナフィラキシーに陥りd-クロルフェニラミンマレイン酸塩(ポララミンTM)投与が著効した1症例2017

    • 著者名/発表者名
      安川毅、河原英朗、辻千晶、花崎元彦
    • 学会等名
      日本麻酔科学会中国・四国支部第54回学術集会
  • [学会発表] Sotos症候群患者の歯科治療を全身麻酔で管理した一症例2017

    • 著者名/発表者名
      人見俊一、有山淳、正木英世、坂本誠史、花崎元彦、白石尚基
    • 学会等名
      日本麻酔科学会 北海道・東北支部第7回学術集会
  • [学会発表] 抗原誘発喘息マウスの気管支平滑筋過敏性発現におけるprostaglandin D2 (PGD2) の関与2017

    • 著者名/発表者名
      須藤航、佐藤翼、片山浩、花崎元彦、酒井寛泰、千葉義彦
    • 学会等名
      第59回日本平滑筋学会総会
  • [図書] 麻酔偶発症AtoZ2017

    • 著者名/発表者名
      小林求、花崎元彦
    • 総ページ数
      670
    • 出版者
      文光堂(東京)、2017年(共著)(発行中)

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公開日: 2018-12-17  

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