研究課題/領域番号 |
15K10554
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
戸部 賢 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (90400770)
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研究分担者 |
小杉 謙介 朝日大学, 歯学部, 助教 (00650780)
須藤 貴史 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60739621)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 徐放薬 / 局所麻酔薬 / 術後鎮痛 |
研究実績の概要 |
局所麻酔薬リドカインを徐放化して、周術期疼痛を制御することを目的として研究を継続している。今までに、薬剤作成、動物実験、ヒトボランティアを用いた試験を終えていて、一定の効果と目立った副作用のないことが確認できている。 2016年度までに、リドカイン徐放薬を下顎埋伏歯抜歯術患者を対象に臨床試験を行った。予定された抜歯術に対して、抜歯部位にリドカイン徐放薬を適応し、術後の痛みの程度や鎮痛薬の使用頻度を比較する試験とした。5群設定して、従来治療群、リドカインなしのポリマーのみ、リドカイン徐放薬投与群をdoseで分けて3群設定して行った。結果に関しては現在解析中で、解析後論文作成する予定である。また試験中に目立った副作用等は認めなかった。 また現在行っているリドカイン徐放薬に関してはその作成は10年以上前に作成方法を検討してそのまま継続しているが、最近の徐放技術でもっと投与しやすい形状のものができないか併せて検討を行っている。作用持続時間は多少短くなったとしても、ゲル状のような形態で注射できるようなタイプの徐放薬の作成ができると臨床上非常に応用範囲が広がると考えていて、そちらの作成方法の検討にも着手している。 注射可能な局所麻酔徐放薬ができると、近年解像度の良くなった超音波装置を用いての神経ブロックなどの際に、より長時間の鎮痛効果を期待して、局所麻酔徐放薬を超音波ガイド下に投与することが可能になると思われ、臨床上非常に有効な術後鎮痛法の開発へと繋がると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床研究においては、昨年度まで行っていた患者を対象とした試験の解析を行い、それを論文化するところであるが、概ね順調に進められているものと思う。 基礎研究としてやる予定の新たな薬剤開発においては、現在いくつかの手法および薬剤の選定作業を行っているが、現時点で有効な新しい局所麻酔薬の開発には至っていない。もともと薬剤作成には非常に時間がかかる可能性もあり、また時間をかけても意図した徐放化が得られるとも限らない。継続的に薬剤開発は行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究に関しては、すでに終えた研究の解析ならびに論文作成・投稿作業を行う予定である。また新たな臨床研究に関しても画策している。現在使用しているリドカイン徐放薬はシート状のものであるため、熱傷患者の破綻した皮膚に対して鎮痛しつつ、皮膚を保護できるようなものに剤型変更を加えて利用できないか検討している。創傷治癒への影響も評価する必要があり、すぐに臨床応用へ発展させることができるかどうか難しい側面もあるが、必要に応じて動物実験を行ってからの臨床応用についても考慮しつつ研究を遂行していく予定である。 新規徐放薬作成に関しては、近年局所麻酔薬徐放手法がいくつかでてきており、その中で、比較的作成が容易で再現性の高そうな手法を用いての作成を検討している。具体的にはion complexを作るような作成手法で局所麻酔薬を徐放化した研究があり、そちらにおいていくつかの局所麻酔薬を用いて検討する予定である。 それ以外にはリポソームを用いたものがあり、アメリカでは臨床利用することができるところまでは進んでいるが、あまり普及はしていない。そちらのリポソームを用いたブピバカイン徐放薬を入手しての基礎実験も検討の余地はあると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度において、2回の海外学会参加があり、そこにおいて予定より支出が増える結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度においては、基礎研究における雑費と動物実験などに係る経費を除くと国内学会発表数回を予定しているのみであり、海外学会参加の予定もなく当該研究を進めるに支障はないと思われる。
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