研究課題/領域番号 |
15K10568
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
原 幸治 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (20331001)
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研究分担者 |
原西 保典 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (90449942)
佐多 竹良 産業医科大学, 大学病院, 病院長 (60128030)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経障害性痛 / アンギオテンシン受容体 / 中枢作用 / 鎮痛作用 / 抗不安作用 |
研究実績の概要 |
坐骨神経絞扼により神経障害性痛モデル(CCI)を作製した。Bennett and Xieの方法により雄Sprague-Dawleyラットをペントバルビタール麻酔下に大腿骨上の皮膚を切開し片側の坐骨神経を4.0-silk糸で4箇所緩く結紮した。処置後4日目以降に患肢に機械的・熱的・冷的痛覚過敏が出現した。対照には坐骨神経を剥離・露出のみを行うsham手術を施し、痛覚過敏の出現が結紮によることを確認した。薬物を脳室内に投与するため、右側脳室に22Gのステンレス製ガイドカニューレを頭頂骨より4.0mm挿入し頭部に固定した。29Gの注入用カニューレでアンギオテンシン(AG)II、CGP42112A、losartan、PD123319を1-50mg/mLを10μL脳室内に投与した。30分後に①electronic von Frey試験(機械的痛覚過敏を評価)②Plantar試験(熱的痛覚過敏を評価)③Cold plate試験(冷的痛覚過敏を評価)を行った。AGIIは①と③で用量依存性に痛覚閾値の上昇と逃避反応潜時の延長を認めたが、②には影響を与えなかった。CGP42112Aは③で逃避反応潜時の延長を認めた。一方、losartanは①と③で用量依存性に痛覚閾値の低下と逃避反応潜時の短縮を認めた。またPD123319は①、②、③ともに有意な効果を認めなかった。脳室内投与の結果からAT1とAT2受容体は脳内でともに神経障害性疼痛に対して抗痛覚過敏作用を発現することが示唆された。AT1受容体,AT2受容体阻害薬の作用から、AT2受容体はAT1受容体と比較して脳内での鎮痛作用への関与の程度が小さい可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験開始当初は脳室内投与で各種薬物の結果が安定しなかったため痛覚過敏に対する作用の判定に時間を要した。予定していた脳内投与で結果を得るまでに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の大きな変更は行わない。脳内投与で特定部位に安定して薬物を投与することが課題である。糖尿病性ニューロパチーモデル(DM)の作製はこれまで行ったことがあり問題はない。DMモデルを用いた当初の計画を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラットと薬物の購入費用に所属機関の研究費を用いたことと、複数の老朽化している実験装置が今年度は故障せず継続して使用できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
糖尿病性ニューロパチーモデルの作製には高価な試薬が必要なこと、その飼育期間が1-2か月に及ぶことからこれまでより多くの実験費用が掛かる。また次年度に動物認識能がより高いビデオ行動解析システムの購入を予定している。
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