研究課題/領域番号 |
15K10571
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三塚 浩二 東北大学, 大学病院, 講師 (80568171)
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研究分担者 |
安達 尚宣 東北大学, 大学病院, 助教 (20706303)
荒井 陽一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50193058)
川崎 芳英 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80722256)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / ホルモン療法 / 脂質代謝 / 糖代謝 |
研究実績の概要 |
日本人前立腺癌患者に対するホルモン療法が脂質・糖代謝に与える影響を検討する前向き試験の結果から、下記の結果を得て英文誌に報告を行った。 2013年9月までに全体で218例が登録され、2014年7月までに60例で1年間の内分泌療法前後にCTが施行され解析可能であった。60例の年齢中央値は74歳(46-83)であり、前立腺癌の病期はB(24例), C(22例), D(22例)であった。1年間の内分泌療法により体重は平均2.8%増加した。腹囲・コレステロール・中性脂肪・空腹時血糖・HbA1c・ヘモグロビンの変化はそれぞれ平均3.2%、10.6%、13.0%、1.0%、0.5%、-7.6%であった。CTによる脂肪測定では皮下・内臓脂肪はそれぞれ平均32.2%、18.6%増加した。腸腰筋の面積とCT値はそれぞれ平均9.0%、7.1%低下した。体重の増加が3%未満であった群(体重軽度増加群32例)と3%以上であった群(体重高度増加群28例)に分類し比較したところ、皮下・内臓脂肪の増加は体重軽度増加群でそれぞれ19.0%, 4.7%であったのに対して、体重高度増加群ではそれぞれ43.0%, 29.0%と著明な増加を認めた(P<0.01)。一方で腸腰筋面積は体重軽度増加群で10.6%減少したのに対して、体重高度増加群では8.2%の減少であった(P=0.22)。腸腰筋CT値は体重軽度増加群で11.4%減少したのに対して、体重高度増加群では5.8%の減少であった(P=0.13)。 結論として内分泌療法により著明な脂肪の蓄積と筋肉量の減少を認めた。1年間の体重増加は平均2.8%であり、体重増加が高度な群で有意に脂肪が蓄積しやすい傾向を認めた。逆に有意差はないものの体重増加が軽度な群の方が腸腰筋面積やCT値の減少が大きい傾向を認めた。内分泌療法による代謝の変化は脂肪増加と筋肉減少の両者のバランスに基づいており、体重の変化だけでなく筋肉の量や質の変化にも注意して管理を行う必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会発表や論文発表などにより成果を報告できている。また今後の新たな研究にも取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画どおり実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像解析用ソフトとPCの購入を延期したため
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次年度使用額の使用計画 |
現在進行中の前向き臨床研究が終了後に上記画像解析用ソフトとPCを購入する予定
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