研究実績の概要 |
膀胱がんを対象に米国では抗PD-1・PD-L1抗体薬5剤が承認された。これらの薬剤とγδT細胞治療の併用の可能性を検討するため、ヒトの末梢血からゾレドロン酸とIL-2を用いて培養したγδT細胞の免疫チェックポイント分子・免疫刺激分子の発現を解析し、免疫抑制の解除、或いは免疫刺激分子を介した賦活化の可能性を検討した。ゾレドロン酸(1μM)とIL-2(700IU/ml)の存在下で末梢血を刺激したところ、PBMC中に2.18±0.51%のγδT細胞は14日後には、81.38±13.03%まで増殖した。培養中のγδT細胞に発現する免疫チェックポイント分子の発現を経時的にFACSで解析したところ、培養0, 3, 5, 7, 10, 14日におけるPD-1分子の発現は、20.83, 39.28, 16.13, 7.45, 6.05, 7.5と、培養後一過性に発現の上昇を認めるが、day3をピークに発現が低下し投与時には培養前よりも発現は低下した。一方、Tim-3分子の発現は17.50, 92.90, 94.73, 98.20, 99.43, 99.35と、培養により速やかに誘導され、投与細胞 (day 14) まで持続的に発現が維持された。CTLA-4の発現は、PD-1の発現パターンと同様に培養前1.00から3日目に46.78まで上昇したのち速やかに低下し、投与時にはほとんど発現を認めなかった(4.33%)。γδT細胞の免疫抑制には、PD-1よりもTim-3が関与している可能性が示唆された。免疫刺激分子である4-1BB(CD137)の発現は、培養前1.15%から、速やかに発現が誘導され培養day 1には53.98、day 5に89.48とピークになり、以後緩徐に発現が低下するが、day 14でも47.60%に発現を認めた。抗CD137抗体によるγδT細胞の更なる活性化が期待される。
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