研究課題/領域番号 |
15K10578
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
松岡 陽 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (90401380)
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研究分担者 |
藤井 靖久 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70282754)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / MRI / 生検 / focal therapy |
研究実績の概要 |
本研究は、前立腺癌の病巣域を選択的に治療するfocal therapyにおける治療域設定法の確立を目的とする。前立腺生検病理とMRIを含む臨床情報の収集のもと、各因子による前立腺全摘病理の予測診断能を解析し、生検とMRIの併用によるfocal therapy適格例/不適格例の選定法、focal therapyの治療域/温存域設定法の開発に関する研究を行った(1)。また、生検時の画像ガイダンスとしてのMRIと超音波の画像情報統合に関する解析を行った(2)。 (1) 前立腺癌のMRI読影報告法(Prostate Imaging Reporting and Data System: PI-RADS)が本研究立案後に改定されたことに対応し、前年度に引き続き改訂版(PI-RADS version 2)を用いたMRI診断能解析を行った。とくに、MRI標的生検を活用したfocal thrapy計画へ向けた解析では、MRI被疑領域への標的生検所見はMRI病期診断と併用することによりfocal therapy不適格例の選定精度が向上することを明らかにした。 (2) 前立腺内の選択領域への治療では、対象領域へ精度の高いアクセスが必要である。近年使用が可能となったMRI/超音波融合画像システムと前立腺模倣モデルを使用し、MRI/超音波融合画像システムの有無別でのアクセス精度解析を行った。同システム使用時は対象領域へのアクセス精度が位置、再現性の面で良好であり、病巣の性状や大きさに関する診断能向上が期待される知見を得た。また、MRI/超音波融合画像システムを用いた標的生検および系統的生検のデータ解析、同システム下での生検とMRIの統合データ活用に関する解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前立腺癌のMRI読影報告法(PI-RADS)は本研究立案後に改定版が公表された。本研究の遂行にあたりPI-RADS改訂へ対応する必要性が生じたため、癌の有無または病期診断に関するMRI診断基準項目毎の追加解析を行った。これに伴う本研究計画の調整として、当初計画していた前立腺模型の作成にかわり、入手可能な前立腺模倣模型を使用することで研究を遂行することとした。前立腺模倣模型を用いたMRI/超音波融合画像システムのアクセス精度解析を行い、その初期データとして、6分領域へアクセス精度が向上することを明らかにしたが、より選択的領域へのアクセス精度解析を引き続き行いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は臨床への関連性の高い内容であることから、臨床上の診断基準に変更が生じた場合や、新規医療機器が使用可能となった場合に、研究目的を臨床に役立つかたちで達成するべく、柔軟に研究内容の追加や変更を行う必要がある。今回、前立腺癌のMRI読影報告法の改変に対応した研究項目を追加し、MRIと生検の活用法に関する新たな知見を得ることができたが、今後もあらたな診断基準改変が生じた際にも迅速に対応したいと考える。また、現在、MRI/超音波融合画像システムが使用可能となり、MRI、超音波、生検の各位置情報の統合管理や統合解析が可能となってきたため、これらのシステムの活用によって、より効率的な研究遂行を図りたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前立腺模倣モデルを用いた研究を計画していたが、本研究立案後にMRI読影報告法が改訂されたため、同改訂版に基づいたMRI診断能解析を追加する必要性が生じ、この対応にあたった。この結果、模倣モデルを使用した研究が遅延し、次年度使用額が生じた。 上記理由にて遅延した前立腺模倣モデルを使用した研究を今後引き続き行う予定である。同研究の遂行および研究成果の発表に助成金を使用する計画である。
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