限局性前立腺癌に対するfocal therapyは、制癌効果と臓器温存の両立を図る低侵襲治療であるが、治療域縮小に伴う過少治療リスクへの対策として、正確な病巣局在評価が必要である。同治療では、診療基準の変遷への対応、新規技術の効率的な導入も必要である。本研究では、前立腺癌focal therapyにおける精度の高い治療域設定法の確立を目的として、以下の解析を行った。 1.前立腺癌における国際的なMRI読影報告法(Prostate Imaging Reporting and Data System: PI-RADS)のversion 2への改訂が、本研究立案後の平成27年度に広くアナウンスされたため、同改訂に対応した画像解析を追加して施行した。PI-RADS version 2を用いたMRI病期診断を用いることにより、focal therapy不適格例の選定精度が向上することが明らかとなった。 2.前立腺ファントムモデルとMRI/超音波画像融合システムを用いた生検穿刺部位の空間的位置解析では、同システム下生検は穿刺部位に関わらず、再現性の高い穿刺が可能であることが確認された。 3.平成30年度は、治療計画時の課題の一つである治療域マージンのサイズに関して、マルチパラメトリックMRIと生検病理および局在情報を用いて解析を行った。3次元画像解析ソフトウェアとMRI/超音波画像融合システムを用いて、マルチパラメトリックMRI陽性領域、前立腺生検穿刺部位の空間的位置解析を施行。MRI陽性域外近傍から癌を検出する生検コア分布から、focal therapyの治療域マージンに必要な領域サイズを解析した。
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