研究課題/領域番号 |
15K10580
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
渡邉 昌俊 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90273383)
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研究分担者 |
白石 泰三 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30162762)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 3次元培養 / 遺伝子 / 機能的解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,スフェロイドに微小環境が加わった新組織切片培養において発現が増強された遺伝子群の機能的解析及び診断・治療への応用展開を図ることにある。例えば、スフェロイドの研究は比較的多いが,間質の影響下でのがん細胞の局所増殖,スフェロイド形成に関わる遺伝子の抽出とその抗癌剤の効果を増強する報告はない。これら遺伝子のsiRNAと抗癌剤,放射線の併用による効果増強あるいは遺伝子発現から各種薬剤あるは放射線に対する効果の予想システムの開発への可能性があると考える。また,局所増殖から周囲との相互作用による進展機構の解明に繋がり, 診断マーカーあるいは治療標的として捉えることが出来ると考えられる。本年度は,前立腺癌細胞におけるKIF22遺伝子の機能的解析を行った。使用した前立腺癌細胞株は、DU145、LNCaP、PC-3を用いた。単層培養で、各細胞株間の発現の差を認めた。また、DU145およびLNCaPの次元培養とスフェロイド培養時におけるKIF22遺伝子の発現の比較では、いずれもスフェロイド培養時に発現が上昇した。siRNAを用いて、その発現をノックダウンした時、単層培養での増殖脳の低下およびスフェロイド形成の低下を認めた。これらの結果より、KIF22遺伝子は、細胞増殖、特にスフェロイド形成時に重要な役割を果たす、すなわち腫瘍の局所増殖に重要な役割を果たすと考えられ、今後の前立腺癌の治療へ繋がる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
KIF22遺伝子の機能解析が順調に進み、予想された結果が得られつつある。ただし、新培養法については、十分に検証はされていない。
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今後の研究の推進方策 |
(1)前立腺癌細胞におけるKIF22遺伝子の病理組織学的,機能的解析,(2)抗癌剤とsiRNAの組み合わせで,抗癌剤抵抗性の検討,(3)臨床検体での発現解析及び臨床病理学的検討を行う。スフェロイドの研究は比較的多いが,間質の影響下でのがん細胞の局所増殖,スフェロイド形成に関わる遺伝子の抽出とその抗癌剤の効果を増強する報告はない。これら遺伝子のsiRNAと抗癌剤,放射線の併用による効果増強あるいは遺伝子発現から各種薬剤あるは放射線に対する効果の予想システムの開発への可能性があると考える。また,局所増殖から周囲との相互作用による進展機構の解明に繋がり, 診断マーカーあるいは治療標的として捉えることが出来ると考える。加えて,潜在癌あるいはラテント癌のメカニズム解明に繋がる可能性もある。新組織切片培養は類似の培養系(脳腫瘍,乳癌)の報告があるが,長期の培養が難しい,異種間にかかわる反応など不明瞭な問題などがあり,(4)系の構築を含む同方法の標準化を図る。
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