山梨大学医学部倫理委員会への申請書類作成に難渋したが承認を得た。山梨大学医学部附属病院の書式による同意書を作成して、それを用い患者個々にこの研究の目的を明記し、インフォームドコンセントを行なった。同意書を得られた患者より尿採取を行い検体をえた。検体採取は統一性を持たせるため、同一医師が行っており、詳細な説明を行い同意書を得るまでに相当な時間を必要とする。そのため日常診療中に採取できた検体の数は限られたが、前立腺癌患者と膀胱癌患者の尿検体を数例得ることができたた。その少ない検体でまずは分析を行った。当大学で開発されたイオン化法による質量スペクトル分析装置である探針エレクトロスプレー法にて質量スペクトルを得た。しかし、検体数が少なすぎるため統計学的な解析を行うことができなかった。また、以前に得られた健常者の尿のスペクトルと比較して、得られたがん患者のスペクトルには、明らかな視覚的差異は確認することができない結果であった。しかし、予定検体数に達する前にメタボローム解析を行うことをで有用なデータを得ることができると判断し、外注先業者を数社選定していたが、外注検査費用と予算の折り合いがつかず行うことができなかった。機能的学習機械を用い確率的診断を算出する方法は研究開始当初では検討する項目であったが、明らかに検体数が足りずに不能であると判断した。少ない検体数でも確率的診断を行うことができる方法を模索したが、適切な方法が見つからずに断念した。
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