研究課題
前年度までに我々が創製したGGCT阻害剤(Pro-GA)の効果を検討した.まず,in vitroの検証として複数の癌腫由来細胞株で増殖抑制を検討した.乳癌MCF7,白血病HL-60,前立腺癌PC3およびLNCaP,尿路上皮癌RT112,T24およびUMUC3の7株に対し培地へPro-GAを添加したところ,すべての細胞株において有意な増殖抑制を認めた.また,そのIC50はおよそ50~80μMの範囲であった.正常組織由来細胞としてHMEC(human mammary endothelial cell),PBMC(peripheral blood mononuclear cell)およびPrEC(prostatic endothelial cell)を用いて同様にPro-GA処理を行ったが,対照処置(DMSO)と同様で増殖抑制は認めなかった.In vivo検証ではPC3皮下移植マウスに対してPro-GA腹腔内反復投与を行い増殖抑制を認めた.以上からPro-GAは癌細胞増殖を抑制する有用な化合物であると報告した.また,我々はGGCT機能阻害による増殖抑制メカニズムについても検討を行った.培養細胞におけるGGCTノックダウン(KD)が細胞老化に特徴的な形態変化を呈することに着目した.MCF7を試料として検討し,GGCT-KDで老化マーカーであるSA-β-gal染色の陽性細胞が著明に増加すること,G0/1期細胞が著増することを明らかにした.また,CKDインヒビターの発現を検討するとp21およびp16がGGCT-KDにより発現誘導されることを認めた.さらにはGGCTとp21のダブルKDで,細胞老化および細胞周期の変化が打ち消されることも示した.また,Pro-GA処理においても同様にp21発現誘導を認めた.以上からGGCT発現または機能阻害による増殖抑制機構は細胞老化を介すると推察した.
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