研究実績の概要 |
本研究は、研究計画書に従い平成27~28年度にかけて順調に推移していた。既に2年間の成果は論文として発表済である(Nishikawa M, Miyake H, Gleave M, Fujisawa M : Effect of Targeting Clusterin Using OGX-011 on Antitumor Activity of Temsirolimus in a Human Renal Cell Carcinoma Model. Target Oncol. 2017;12:69-79.)が、この成果に加えて平成29年度においては、以下の検討を行った。In vitroにおいてヒト腎癌細胞株をtemusirolimusおよびcustirsenにて処理した後に発現が亢進する複数の分子シャペロンを同定し、これらを標的としたアンチセンスオリゴを精製した。このうち、temusirolimusおよびcustirsenに追加投与することにより、抗腫瘍効果の増強を認めるアンチセンスオリゴ(アンチセンスオリゴX)を用いて、temusirolimus + custirsen + アンチセンスオリゴXとtemusirolimus + custirsen + コントロールオリゴXの腫瘍増殖抑制効果をin vivoで検証したところ、前者の抗腫瘍効果が後者に比し有意に顕著であるとの所見を得た。今後、アンチセンスオリゴX単剤、アンチセンスオリゴX とtemusirolimusあるいはcustirsenの2剤併用療法の抗腫瘍効果およびアンチセンスオリゴXを軸とした新規治療の効果発現メカニズムを引き続き解析していく予定である。
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