研究課題
前年度に引き続き、内分泌性FGF(FGF19、21、23)およびその関連分子群について、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)における血中濃度を治療前、薬物投与経過期間中に経時的に測定し、PSAおよびその他の腫瘍マーカー、末梢血・生化学検査所見の推移、転移巣の画像学的評価治療効果、自覚症状とこれらFGF19、21、23およびその関連分子群の推移との関連について評価した。CRPC組織における内分泌性FGFとその関連分子群の発現を、ホルモン感受性前立腺癌(HSPC)と比較した。転移性腎細胞癌症例、進行性尿路上皮癌症例においても同様の解析を行い、これらの分子群の推移がCRPC特異的かについて評価した。免疫組織染色では、CRPC組織におけるFGF19、FGF21の集積亢進を認めた。CRPC症例では、HSPC症例に比較してFGF19、FGF21の血清濃度が有意に高値であった。腎細胞癌、尿路上皮癌などほかの泌尿器癌ではFGF19、FGF21の血清濃度と病期の関連はみられなかった。CRPCにおけるFGF19、FGF21濃度は、血液生化学所見およびPSA値と相関を認めなかった。さらにFGF19濃度は、治療経過中の転移巣の縮小と関連して有意に低下がみられた。また、関連分子群の発現制御機構の解析によって、non-coding RNAを介した関連分子群の発現調節とそれに伴う薬剤感受性の変化を明らかにした。以上の研究結果からFGF19とその関連分子群がCRPCの病勢進行や薬剤の効果反映する新たなバイオマーカーとなりうる可能性が示唆された。本研究に際して前立腺癌、腎細胞癌の臨床経過についての解析結果を得たため報告した。腎細胞癌については、内分泌性FGFおよび生化学的検査所見と病勢進行との関連をCRPCと比較する過程で、新たなバイオマーカーとしての炎症関連因子群の同定に至ったためこれを報告した
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