研究課題
1.前立腺癌細胞の増殖因子に対するガレクチン-3の影響と作用機序の解析ホルモン感受性前立腺癌細胞(LNCaP)とガレクチンー3強発現LNCaP細胞(LNCaP-Gal-3)およびホルモン非感受性前立腺癌細胞(PC-3)とガレクチンー3ノックアウトPC-3細胞(PC-3-siGal-3)の遺伝子発現の差をマイクロアレイアッセイで網羅的に解析した。その結果、ガレクチンー3が強発現したLNCaP-Gal-3細胞およびPC-3細胞では、ガレクチンー3をノックアウトした細胞と比較してEGF の発現が有意に高く、さらに骨転移関連遺伝子であるRUNK2 とBMP7の発現も有意に高いことを見出し、抗アンドロゲン剤であるビカルタミドやエンザルタミド投与でもこれらの遺伝子発現は抑制されないことを証明した(2017年32nd Annual European Association of Urology Congressで発表)。2.前立腺癌細胞への化学療法、分子標的薬治療に対するガレクチン-3の影響ヌードマウスの皮下にホルモン感受性LNCaP細胞とガレクチン-3強発現細胞株(LNCaP-Gal-3)を移植し、腫瘍が定着後に去勢術を施行した。その結果、LNCaP細胞では腫瘍は縮小したのに対してLNCaP-Gal-3細胞では縮小することなく増大傾向を示し、VEGFBの発現が有意に上昇することを証明した。そこでVEGFB にも作用するVEGF受容体阻害剤であるAxitinibを投与したところ、抗アンドロゲン剤無効のこれらの腫瘍に対して有意に腫瘍増殖抑制効果が認められた。さらに実臨床で使用されているタキサン系抗がん剤(ドセタキセルおよびカバジタキセル)をLNCaPおよびPC-3細胞に投与したところ、ガレクチン-3が発現しているLNCaP-Gal-3およびPC-3細胞と比較してLNCaP およびPC-3-siGal-3細胞では両薬剤ともに増殖が抑制され、ガレクチンー3をノックアウトすることでタキサン系抗がん剤の感受性を高めることが示された。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
in vivo
巻: 31 ページ: 755~761
10.21873/invivo.11127