【研究目的】我々は、外科手術不能な転移性腎がんの全身療法として、免疫賦活剤であるイミキモドの経皮投与とチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の経口投与を用いた併用療法の有効性と安全性を世界に先駆けて報告してきた。本研究の目的は、イミキモド+TKI併用療法を実臨床に応用できる新規治療方法として確立することである。【研究実績】我々のこれまでの研究結果より、イミキモドとTKIによる併用療法の効果は腫瘍細胞特異的な細胞障害性T細胞の活性化によるものと位置付けている。その詳細を検討するために、マウス腎がん細胞株RencaにKb遺伝子あるいはOVA+Kb遺伝子を導入した細胞を作成した。本細胞をマウス皮下に移植をしたマウスモデルを確立したが、それぞれの腫瘍増殖速度に差が大きく、正確な治療効果を判定するに至らなかった。 一方、本研究においてTKIとして主に使用していたソラフェニブは、臨床上、その使用頻度は少なくなってきており、他のTKIとしてアキシチニブを用いて、イミキモドとの併用療法を検討した。結果、イミキモドおよびアキシチニブ単独療法は、コントロール群と比較して各々一定の効果を認めたが、併用療法による相乗ならびに相加効果は認められなかった。理由として、rafの阻害効果を持つソラフェニブと持たないアキシチニブとで、その抗腫瘍効果は異なり、特に免疫環境に与える影響が異なる可能性が示唆された。つまり、イミキモドをはじめとする免疫療法との併用においては、純粋なVEGFR阻害作用よりは、直接の殺細胞効果を持つTKI化合物がより良いと考えられた。
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