研究実績の概要 |
患者血漿サンプルを去勢抵抗性前立腺癌(以下CRPC)36例、ホルモン感受性前立腺癌(non-CRPC)22例のtotal 58例から採取した(本学医の倫理委員会承認済:第847号)。得られた血漿サンプルを用いてCAV(caveolin)1,-2 levelを市販のELISA kitにて測定した。またそれぞれのcell lineからtotal RNAおよびタンパク質を抽出し、qRT-PCRおよびELISA法にて両分子の発現量をmRNAおよびprotein levelで検討した。さらにCAV1,-2特異的siRNAをCAV1,-2高発現株であるPC3に対して導入し、両分子のknock down(KD)を行いPC3 CAV1,-2 KD株とcontrol株との間でCAV関連分子に与える影響の差異をqRT-PCRおよびELISA法を用いて検討した。血漿CAV1 ,-2 levelはnon-CRPC群と比較してCRPC群で有意に増加していた(CAV1: p=0.003/ CAV2: p=0.002)。またcell lineにおいてもCAV1,-2はmRNAおよびprotein levelともにLNCaP(non-CRPC model)に比べてPC3(CRPC model)で有意に高発現していた(p<0.001)。CAV1特異的siRNAを用いてCAV1,-2高発現細胞株であるPC3に対して導入し、CAV1のknock downを行いcontrol株との間でそのco-factorと言われるCAV2などのCAV関連分子に及ぼす影響を検討した結果、PC3 CAV1 KD株においてCAV2の発現抑制を認め、かつ興味深いことにこのCAV2をKDすると(PC3 CAV2 KD株において)同じくCAV1の発現が抑制されるといった連動性が確認できた。 CAV1、CAV2のノックダウンにより、PC3細胞の遊走能は低下し、同細胞ではビメンチンとN-カドヘリンの発現が低下していた。さらに、PCRアレイによる解析で、MMP13とETS variant 4の関与が考えられた。
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