研究課題/領域番号 |
15K10603
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
高田 英輝 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (10747611)
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研究分担者 |
河合 憲康 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20254279)
安藤 亮介 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30381867)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40264733)
内木 拓 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (50551272)
小林 大地 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (80570704)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MCL thermotherapy / 免疫 / 浸潤性膀胱がん |
研究実績の概要 |
0.05%のBHBNの自由飲水により高リスク非浸潤性膀胱がん(上皮内がん)マウスを作成した。26週継続し、浸潤がんモデルを作成した。4週から26週にかけて、過形成、異形成、上皮内がん、浸潤がんと進行していくことを確認した。次いで、MCLの膀胱内注入におけるMCLの吸着の検討を行った。作成した浸潤性膀胱がん動物モデルにMCLを膀胱内注入し、MCLの吸着および取り込みを走査型電子顕微鏡にて確認した。MCLを陽電化しているため、細胞への吸着に優れ、膀胱がん細胞への有意な吸着が確認できた。 さらに膀胱がん皮下腫瘍に対するMCL Thermotherapyの治療効果の検討を行った。BALB/c Slc-nu/nuにT24:1×106 cells/100 μlを背中の左右に皮下移植し、モデルマウスを作成、MCLの注入の有無により2群に分けた。(1)MCL注入群(2)MCL非注入群。片側のみをMCL Thermotherapyにて治療した。治療された皮下腫瘍は有意な腫瘍縮小傾向が認められ、さらにはMCL Thermotherapyにより免疫が獲得されてることが考えられるため、未治療の腫瘍は免疫賦活により縮小した。MCLの濃度は33mg/ml、用量は100μl/回とし、2方向から腫瘍中心部に5μl/minの速度で注入した。両群共に交番磁場を照射、照射時間は30min/回、2日おきに施行した。腫瘍塊が消失するまで繰り返した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在皮下移植モデルを作成、MCLの注入の有無により2群に分けた。(1)MCL注入群 (2)MCL非注入群。片側のみをMCL Heat Therapyにて治療した。MCLの濃度は33mg/ml、用量は100μl/回、2方向から腫瘍中心部に5μl/minの速度で注入した。両群共に交番磁場を照射、照射時間は30min/回、2日おきに施行、腫瘍塊が消失するまで繰り返すした。その結果ある程度の治療効果を得ている。MCLが注入された腫瘍の有意な縮小を認め、さらにMCL非注入の腫瘍の縮小も確認している。現在は、腫瘍検体および血液検体を分析中である。今後は作成した膀胱がんモデルを使用し、研究を遂行していく予定である。研究自体はおおむね順調に進展していると考えられる。 効率的に研究を進めるため、研究方法毎に研究者を分担している。また、教授・講師の指導的立場の医師が研究をコントロールしつつ、助手、研究員、大学院生がそれぞれの研究を個別に行い、定期的な研究報告会を行うことにより、研究の共有化をはかることとしている。定期的に催される研究グループの報告会で、研究の進捗状況、その方法を検証し、研究の方向性、妥当性を適宜検討している。問題が生じた場合には、その都度学内外の専門家より適切な指示を受け修正している。さらに当大学内の定期的な研究報告会で、研究の妥当性と進捗状況を他グループの研究者からも客観的に評価してもらい、研究を円滑に行うよう努めている。
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今後の研究の推進方策 |
1.MCL 膀胱内注入療法による免疫誘導サイトカインの検討:腫瘍免疫については、近年新たにTh17と制御性T細胞(Treg)が見出され、免疫バランス制御の新たなパラダイムが提唱されている。MCL膀胱内注入療法後に、がん細胞由来のサイトカインの誘導およびCD4+Tリンパ球のTh1,Th2,Th17,Tregへの分化誘導を検討する。また抗TGF-β抗体および抗IL-6抗体を用いて、Th17およびTregの発現が低下することを確認する。さらにTh1への誘導が強化されるかどうかを検討する。 2.膀胱がん動物モデルにおける治療効果の検討:作成した高リスク表在性膀胱がん(上皮内がん)マウスを①無治療群②MCL膀胱注入群③MCL膀胱注入+交番磁場照射群④MCL膀胱注入+交番磁場照射群+がん免疫治療群(抗TGF-β抗体,抗IL-6抗体)に分類する。抗体は腹腔内投与とする。検討した、MCL用量・治療間隔に従い治療する。治療期間は4週間とする。その治療効果を腫瘍体積の変化および病理組織学的検査により解析する予定である。 3.MCL Thermotherapy治療個体における再腫瘍移植片の拒絶反応の解析:MCL Thermotherapyの治療個体における再腫瘍移植片の拒絶反応の解析を行う。免疫賦活の観点から治療が終了した個体へ同じ前立腺がんを移植した場合には、生着が拒絶されると考えられる。拒絶の確認と、組織、血液から免疫応答細胞の動向を検討する。
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