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2016 年度 実施状況報告書

新規低分子化合物APAの前立腺癌におけるアンドロゲン依存増殖阻害機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K10615
研究機関公益財団法人微生物化学研究会

研究代表者

山崎 洋子  公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 研究員 (80342690)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード前立腺がん
研究実績の概要

Androprostamine (APA)の作用機序解明のため、APAの抗腫瘍効果の特異性を確認した。これまでにAPAは肺がん、胃がん、大腸がん、卵巣がん、脳腫瘍、乳がん、腎がん細胞株に細胞毒性を示さないことが明らかになっている。今回、正常ヒト前立腺間質細胞PrSC、ヒト正常肺線維芽細胞NHLF、胃由来繊維芽様細胞 Hs738に対して細胞毒性を評価したところ、APAは正常細胞株に対して全く毒性を示さなかった。また、アンドロゲンレセプター(AR)を欠損したヒト前立腺がん細胞株PC-3およびDU145に対しては殆ど細胞毒性を示さなかったが、AR発現細胞株LNCaP、VCaP、22Rv1に対しては0.1~1.0 μg/ml程度の細胞毒性を示し、AR発現細胞に対して選択的細胞毒性を示すことが明らかになった。
これまでの研究からAPAはARの核内移行および転写活性を阻害しないことが明らかになっている。そこでAPAの前立腺がんにおける細胞毒性がARを介しているか確認するため、siRNAによるARノックダウン実験を行った。その結果、APAおよびポジティブコントロールであるエンザルタミドの細胞毒性はARをノックダウンすると低下し、ネガティブコントロールであるドセタキセルではノックダウンしても細胞毒性に変化が認められなかった。以上の結果からAPAの前立腺がんに対する細胞毒性はARを介していることが確認できた。
類縁体の合成研究においては、昨年度APAのN末のアミノ酸を置換することにより15種類のAPA類縁体を合成することに成功し、in vitroにおいてはAPAを凌ぐ活性を持つ類縁体を得ることができた。しかしながら、in vivoでの急性毒性試験の結果、活性の強い類縁体には毒性があることが明らかになった。今年度は、APAのホモリジン部位を他のアミノ酸に置換した類縁体数種類の合成に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アフィニティービーズによるAPA結合タンパクの同定実験では、結合時のバッファー組成や温度、ビーズ量などの条件検討を行った。しかしながら、合成した活性のないAPA類縁体と比較してAPAに特異的に結合するタンパクを検出することができなかった。今後は使用する細胞溶解液の条件検討を試みる。
APAの前立腺がんに対する抗がん活性の作用機序は、以前として不明であるが、ARを発現していない細胞には細胞毒性を示さないことを明らかにした。さらARをsiRNAでノックダウンすることによりAPAの細胞毒性はARを介していることを明らかにした。
合成研究は計画以上に進展しており、構造活性相関が明らかになりつつある。
本研究で計画以上に進展している項目とやや遅れている項目があるが、全体としてはおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

アフィニティービーズによるAPAの標的分子の同定は困難を極めている。そこで、DNAマイクロアレイを用いてAPA添加後の前立腺がん細胞における遺伝子発現の変化を網羅的に解析することにより、APAの標的分子の同定を行う。解析によって選出された候補遺伝子の発現変化をPCRおよびウェスタンブロットにより確認する。確認ができた遺伝子についてはノックダウンおよび過剰発現細胞を作成し、APAの活性にどのような影響をもたらすか否かを解析する。
合成研究においては、レゾシノール部位の構造変換を行いさらに活性の強い類縁体の合成を目指す。前年度と同様に、合成された類縁体のin vitroでの生物活性を解析し、活性の強い化合物に関してはマウスを用いた急性毒性試験へと進める。有望な化合物においてはさらにin vivoでの抗腫瘍効果を解析する。

次年度使用額が生じた理由

抗体の納品が遅延しているため。

次年度使用額の使用計画

作成中の抗体が完成した時点で購入する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Synthesis of Androprostamine A and Resormycin.2016

    • 著者名/発表者名
      H Abe, Y Yamazaki, C Sakashita, I Momose, T Watanabe, M Shibasaki
    • 雑誌名

      Chem Pharm Bull

      巻: 64 ページ: 982-987

    • DOI

      10.1248/cpb.c16-00207

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考] IMC 微生物化学研究所

    • URL

      http://www.bikaken.or.jp

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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