研究課題/領域番号 |
15K10620
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
秋野 裕信 福井大学, 医学部附属病院, 教授 (90159335)
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研究分担者 |
横山 修 福井大学, 医学部, 教授 (90242552)
松田 陽介 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (90345687)
大江 秀樹 福井大学, 医学部附属病院, 医員 (70760510)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / 神経因性排尿筋過活動 / 遺伝子発現 / 平滑筋収縮メカニズム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は脳梗塞による非神経因性の膀胱伸展に伴う収縮反応の亢進(膀胱局所の変化)の機序を解明して、脳梗塞による神経因性膀胱の新規治療法を開発することにある。脳梗塞は膀胱を支配する神経系に変化をもたらし、それが膀胱局所の変化を惹起すると推察されることから、求心性神経の影響、遠心性神経の影響に関して順に検討した。 求心性神経に関してはresiniferatoxinによるTRPV1陽性知覚C線維を脱感作することにより脳梗塞に伴う膀胱局所の変化(in vitro全膀胱のコンプライアンスの低下)が阻止できないか検討を行ったが、TRPV1陽性知覚C線維の脱感作は膀胱局所の変化に影響しなかった。その結果からAδ知覚神経の関与は除外できないものの、遠心性神経の作用が脳梗塞に伴う膀胱局所の変化の発生に関与することが強く示唆された。 遠心性神経が脳梗塞による膀胱局所の変化に関与すると考え、遠心性神経に関する研究の第一段階として膀胱を支配する副交感神経系の遠心路の遮断(L6・S1両側前根切断)、交感神経系の遠心路の遮断(L1・L2両側前根切断)したラットに脳梗塞を作製し、遠心性神経の遮断が脳梗塞による膀胱コンプライアンスの低下に関与するのか、そして脳梗塞による膀胱壁におけるmRNA、蛋白発現の研究のための材料を収集することを試みた。現在、L6・S1両側前根切断による検討を行っているところであるが、対照とするL6・S1両側前根剥離群においても脳梗塞による排尿反射亢進が発生しないことが多く、手技的に前根のみを切断することが困難な状況にある。手技の向上が得られつつあるも研究方法を再考しなくてはならないかも知れない現状である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度中に脳梗塞による膀胱局所の変化(in vitro全膀胱のコンプライアンス低下)が、副交感神経系の遠心路の遮断(L6・S1両側前根切断)、交感神経系の遠心路の遮断(L1・L2両側前根切断)で変化するのかを検討する予定であったが、前述のように手技上の問題で達成されていない。
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今後の研究の推進方策 |
L6・S1両側前根切断、L1・L2両側前根切断が手技的にかなり困難であるが、少しずつ手技の進歩は認められていることから、6月頃までは現行の実験を行いたいと思っている。しかし、手技が一定しない場合は前根切断を行わない通常の脳梗塞ラットを用いて、脳梗塞によって膀胱内で産生される物質に関して検討を行い、発現が亢進している物質に拮抗する薬剤等を用いて脳梗塞に伴う膀胱局所の変化(in vitro全膀胱のコンプライアンス低下)が阻害されるかを検討する。
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