研究課題
前立腺手術や膀胱全摘術時に採取した計31名の前立腺組織をホルマリン固定し、ステロイド5α還元酵素(5αredactase、 SRD5A)Type1、2、3(5A1、5A2、5A3)について免疫学的染色を行った。SRD5A1,5A2は前立腺腺管のみに発現が認められたが、5A3は腺管だけでなく、間質細胞にも発現を認めた。5A1、5A2、5A3の発現には多くの場合その強度は一致していたが、5A3だけが発現が強いものや5A2だけが発現が強いものがあった。これらの発現と免染でのPSA、アンドロゲンレセプターの発現と比較したが、5A1とは関連が認められたが、5A2、5A3とは関連が認められなかった。また、前立腺が肥大すると5A1,5A2の発現が低くなる傾向があった。年齢との関連も認められなかった。さらにreal time RT-PCRにて5A1、5A2、5A3のmRNAでの発現を比較した。5A1の発現が高い組織では5A3の発現は高く、同様に5A1の発現が低い組織では5A3は低く、発現の強度の傾向が似ていた。しかし5A2の発現は5A1や5A3との発現とは異なり、5A1や5A3の発現が高い組織でも5A2の発現が弱い場合やその反対の場合もあり、一定の傾向を認めなかった。さらに5A1や5A3では個人個人の発現にあまり差を認めなかったが、5A2は個々の発現に差があった。この研究をさらに進めるためにin vitroでの研究を行っている。細胞株として、前立腺正常組織上皮細胞と間質細胞、さらに前立腺癌細胞株としてLNCaP、DU145、PC3を用いて、その発現を-PCRで確認した。すべての細胞株で5A1、5A2、5A3が発現していることがわかった。これらの細胞に前立腺肥大症の発生に関連の強いサイトカインであるIL-1、IL-17、抑制のサイトカインであるIFN-γを添加し、SRD5Aを変化を見ている。