研究課題/領域番号 |
15K10627
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40326153)
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研究分担者 |
田口 和己 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (00595184)
郡 健二郎 名古屋市立大学, その他部局等, 学長 (30122047)
安藤 亮介 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30381867)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40264733)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70444966)
濱本 周造 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (80551267)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 尿路結石 / 酸化ストレス / ゲノムワイド関連解析 / ミトコンドリア / マクロファージ |
研究実績の概要 |
私たちは尿路結石の遺伝因子として、ヒトゲノムワイド関連解析(GWAS)により尿路結石に関連する新たな遺伝子領域を発見した。また環境因子として、腎尿細管細胞のミトコンドリア傷害による細胞傷害から、結石形成がはじまることを見いだした。本研究では、2つの観点から予防法の開発を目指して研究を行っている。 1. 腎尿細管細胞のミトコンドリア傷害に着目した治療薬とバイオマーカーの開発 Cyclophilin Dのノックアウトマウスにシュウ酸前駆物質を投与し、結石の形成および細胞内の分子機構を解明することを試みた。シュウ酸の前駆物質であるグリオキシル酸を80mg/Kg/dayで投与したところ、wild typeと比較し、Cyclophilin Dノックアウトマウスでは、結石形成量が少なかった。電子顕微鏡で、ミトコンドリア障害に差があることを見出した。Cyclophilin Dの選択的阻害剤であるNIM811を腎尿細管培養細胞(in vitro)や結石形成モデル動物(in vivo)に投与し、細胞内カルシウム濃度の変化、酸化ストレスや腎尿細管細胞傷害、尿路結石形成の違いを比較した。尿中cyclophilin Dの測定を行い、結石形成のバイオマーカーとしての応用を試みた。 2. ヒトゲノムワイド関連解析による新規関連遺伝子の同定とリスク診断法の開発 網羅的なヒトゲノムワイド関連解析で同定した遺伝子領域から、関連遺伝子の一塩基多型解析を行い、ハプロタイプによるリスク診断法を確立することを試みている。これまでの基礎研究、臨床研究、ゲノムワイド解析より得られた約50種類の候補遺伝子産物について、尿路結石患者および健常者の血液・尿を用いた複数蛋白同時測定システム (マルチプレックス解析システム MAGPIXでの解析を実施した。結石患者でM2マクロファージ関連物質が増加していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
欠損マウスを用いた解析が実施できた。またMAGPIXによる解析で、結石患者に特徴的な候補因子を同定した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果と照らし合わせながら、wild typeとcyclophilin Dノックアウトマウスでの結石形成が異なる機序を酸化ストレスの観点から明らかにする。繁殖と薬剤投与を進める。 学内外の研究者と情報交換を積極的に行い、問題点を解決していく。 今年度の研究を継続し、以下の2項目を解明していく。 1. 腎尿細管細胞のミトコンドリア傷害に着目した治療薬とバイオマーカーの開発:尿路結石形成におけるミトコンドリア傷害の分子機構を解明し、予防薬と尿中バイオマーカーを開発する。 2. ヒトゲノムワイド関連解析による新規関連遺伝子の同定とリスク診断法の開発:GWASおよび、MAGPIXで明らかとなったM2マクロファージ関連物質の観点から、マクロファージの関与を解明し、発症リスクの診断法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究で予定していた最適な試薬等の選定について情報の収集に時間がかかり、発注が遅くなった。
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次年度使用額の使用計画 |
H29年度に発注して研究をすすめることとした。
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