研究課題
腎結石の発症頻度は急増し、再発予防法の確立は先進国において緊急課題である。腎結石は90%の無機物質と数%の有機物質(マトリックス)から構成されている。私たちは、マトリックス成分が結石形成に重要であると考え、有機物質の成分としてオステオポンチン(OPN)を同定し、結石形成の分子機構を解明してきた。そこで、OPNノックアウトマウスを作成し、OPNは腎結石の形成を促進することを証明した。さらに、OPN遺伝子組み換えマウスでは、OPNの機能接着部位と考えられるRGD配列が、結石形成に特に関わっていることを証明した。本研究では初めに、RGD配列の隣にあって、切断型OPNにて露出されるアミノ酸配列に対する中和抗体を作成し、腎結石形成作用を検討した。抗体投与により、マウスの腎結晶は通常のマウス腎結石と比較して、内部が細かく、小さな結晶となることがわかった。電子顕微鏡による尿細管細胞の構造も、抗体投与にて、尿細管細胞障害が抑制され、結晶の形成も認められなかった。つまりOPN抗体で結石形成量や形態形成が抑制されることを証明した。続いて、ヒトと遺伝子背景の似ているサルにおいて、結石形成モデルの作成を行った。しかし草食動物であることが影響するしてか、結石を形成するサルは見つからず、サル腎結石モデルが作成困難であることがわかった。当初の目的は、サルに抗体を投与することで、結石形成への影響を確認する予定だったが、頓挫している一方で、現在、ヒト結石患者の腎組織、尿中における切断型OPN、全長型OPNを定量化し、結石患者特有の結石形成の指標(バイオマーカー)になりえるかの検討を行なっている。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
International Journal of Urology
巻: 25 ページ: 121-133
10.1111/iju.13491
Journal of the American Society of Nephrology
巻: 28 ページ: 333-347
10.1681/ASN.2015111271
Urology Case Reports
巻: 11 ページ: 66-68
10.1016/j.eucr.2017.01.005.
巻: 24 ページ: 75-81
10.1111/iju.13242
Urology
巻: 106 ページ: 45-49
10.1016/j.urology.2017.04.047.
巻: 24 ページ: 326-329
10.1111/iju.13319.
Journal of Endourology
巻: 31 ページ: 922-929
10.1089/end.2017.0320.