腎乳頭部CT値が尿路結石の再発を予測する指標となるかを明らかにするために、134名の上部尿路結石患者を対象とし、腎乳頭部CT値と疾患重症度(再発あるいは多発結石)との関連性、24時間尿化学検査との関連性、再発率との関連性について検討した。腎乳頭部CT値を中央値で高値群と低値群に分類したところ、再発あるいは多発結石は低値群の42.1%、高値群の59.1%にみられ、高値群で疾患重症度が有意に高いことが示された(p<0.01)。また、24時間尿化学検査の各項目に有意差はみられなかったものの、シュウ酸カルシウム結晶形成の指標であるAP(CaOx) indexは低値群で0.81、高値群で1.19と高値群に高い傾向がみられた(p=0.06)。最後に、人年法で算出した再発率は低値群で0.09、高値群で0.62と高値群で有意に高いことが示された(p<0.01)。年齢、性別、結石数、再発歴、薬物治療を因子とした多変量解析では、腎乳頭部CT値が高値の場合の再発オッズ比は8.48(95%信頼区間3.45-22.88、p<0.01)であった。以上より、腎乳頭部CT値は疾患重症度、AP(CaOx) index、再発率と相関しており、特発性カルシウム結石患者の再発予測ツールとして有用であることが示された。こうした知見は、尿路結石患者において再発予防のための検査や治療介入を重点的に行なうべき患者を選定するのに有用な情報を提供することになると考えられる。
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