【目的】間質性膀胱炎(IC)の病態は未だ不明であり、有用なバイオマーカーも存在しない。そこで、IC患者の非侵襲的バイオマーカーの検出を目的として、尿中のサイトカイン・増殖因子を検討した。 【方法】当大学における倫理委員会の承認を得て、IC患者19名(ハンナー型9名、非ハンナー型10名)、過活動膀胱(OAB)患者19名、健常ボランティア(対照群)15名を対象として、採尿、O’Leary & Santの症状スコア(OSSI)、問題スコア(OSPI)、疼痛スコア(VAS)をそれぞれ施行した。採尿後は直ちに遠心分離し、-20℃で保存した。Milliplex MAP Human Cytokine/Chemokine 41-Plex Assay Kitを用いて、尿中バイオマーカーを比較検討した。また、全症例を対象として、OSSI、OSPI、VASと各サイトカインとの間で単回帰分析を施行し、有意差を認めた項目に関して重回帰分析を施行した。 【結果】IC群はOAB群、対照群より有意にOSSI、OSPI、VASが高値であった。また、OAB群は対照群より有意にOSSI、OSPIが高値であったが、VASに有意差は認められなかった。次に、IC群はOAB群、対照群より有意にMIP-1a、RANTES、IP-10、VEFGが上昇していた。一方、OAB群と対照群、ハンナー型と非ハンナー型の間にそれぞれ有意差は認められなかった。重回帰分析の結果、OSSIとIP-10、OSPIとFGF-2、IP-10、VASとMIP-1a 、eotaxin、IL-6、IP-10に有意な相関を認めた。 【結論】Th1型の免疫反応に関与するケモカイン(MIP-1a、RANTES、IP-10)がIC患者の尿中バイオマーカーになり得る可能性が示唆された。また、IP-10はICの病勢を反映する可能性が示唆された。
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