研究課題/領域番号 |
15K10634
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
榊原 隆次 東邦大学, 医学部, 准教授 (00282476)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 機能的脳画像 / 自律神経 / 膀胱 / 知覚入力 / 近赤外線分光法 / ニューロメーター / 前頭前野 / 過活動膀胱 |
研究実績の概要 |
過活動膀胱(OAB)は尿意切迫感を主症状とし、頻尿・夜間頻尿を通常伴い、非常に困る症状 である。本邦の40 歳以上一般人口におけるOABの頻度が12.4%と非常に高いことから、生活の質の観点から近年、非常に注目される症状といえる。OAB の機序として大きく①膀胱平滑筋の不随意な収縮(排尿筋過活動)によるものと②膀胱求心神経の興奮(知覚亢進)によるものがあり、後者の成因として尿路上皮からのアセチルコリンの分泌亢進等が知られているものの、ヒトにおける詳細はまだほとんど明らかにされていない。今回、NIRSを用いて、新規抗コリン薬であるフェゾテロジンfesoterodine(feso)の、膀胱求心線維(膀胱知覚)に対する改善効果を蓄尿・排尿時の脳血流変化として明らかにした。feso投与後、夜間頻尿、尿意切迫, 生活の質、OABSS総点が改善し、膀胱容量(258 ml→319 ml)が増大した。NIRS同時測定では、検査開始~初発尿意間の傍中心小葉・右前頭前野の血流低下、左前頭前野の血流増大が認められた。結語: 本検討でみられたfesoによるOABの改善は、傍中心小葉の血流低下(蓄尿期の括約筋の緩和を示唆)と左前頭前野の血流増大(前頭葉排尿中枢の改変を示唆)を伴っていた。これらの変化は、薬剤によるOAB改善の中枢機序を示唆する可能性が考えられた。上記内容を、International Continence Society ICS 2015 Montreal, 第22回日本排尿機能学会、第68回日本自律神経学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Fesoterodine modulates the brain function in OAB patients: a real-time measure of oxyhemoglobin concentration changes during urodynamics 過活動膀胱治療薬fesoterodineによる蓄尿・排尿時の脳血流変化 目的: 過活動膀胱(OAB)治療薬fesoterodine(feso)による蓄尿・排尿時の脳血流変化は良く知られていない。我々はこの点について検討した。対象と方法: OABを有する43名(男性28名女性15名; 平均年齢73歳)に対して、feso4 mg/日を3か月間投与前後で、排尿症状の問診表とNIRS(近赤外線分光法)ウロダイナミクス測定を行った。結果: feso投与後、夜間頻尿、尿意切迫(p<0.05), 生活の質、OABSS総点(p<0.01)が改善し、膀胱容量(258 ml→319 ml, p<0.05)が増大した。NIRS同時測定では、検査開始~初発尿意間の傍中心小葉・右前頭前野の血流低下、左前頭前野の血流増大が認められた。結語: 本検討でみられたfesoによるOABの改善は、傍中心小葉の血流低下(蓄尿期の括約筋の緩和を示唆)と左前頭前野の血流増大(前頭葉排尿中枢の改変を示唆)を伴っていた。これらの変化は、薬剤によるOAB改善の中枢機序を示唆する可能性が考えられた。
上記内容を、International Continence Society ICS 2015 Montreal, 第22回日本排尿機能学会、第68回日本自律神経学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
データの解析を進め、脳部位別の統計解析を行う。国際学会での発表、英文論文での発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
計測用PC一式の確定納入が遅れたため、次年度に持ち越し購入を予定。 同時に、試験導入例数を増加し、画像統計解析を詳細に行う。
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次年度使用額の使用計画 |
計測用PC一式: Hulett Packard PC, 高精細monitor, softwareとしてMaclab, SPSSなどを予定。
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備考 |
We review the pathophysiology of bladder dysfunction in PD, lower urinary tract symptoms (LUTS), objective assessment, and treatment options. 榊原隆次はガイドライン委員会の委員長として作成に従事した。
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