研究課題/領域番号 |
15K10635
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
林 篤正 久留米大学, 医学部, 講師 (20341357)
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研究分担者 |
太田 啓介 久留米大学, 医学部, 准教授 (00258401)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | FIB/SEM法 / 膀胱間質細胞 |
研究実績の概要 |
モルモット膀胱壁内の間質細胞について、1、上皮下層 2、筋層内について、FIB/SEM法、TEM法により2次元、3次元観察を行った。 1、上皮下層 上皮下には多数の間質細胞が存在し、免疫染色では血小板増殖因子受容体α(PDGFRα)がvimentinと共存していた。免疫染色学的に形態的特徴変化は解析出来なかった。しかしTEMで観察すると上皮に近い部分は細胞小器官が下層に比較して豊富で、比較的厚い構造をしていた。三次元構築を行うと、細胞の突起(突起は扁平で針状や線状ではない)でお互いのネットワークを形成していた。下層間質細胞は細胞質が非常に薄く、細胞の表面積が上皮に比較して大きかった。コラーゲン繊維は上皮に近いほど豊富で、細胞表面と直行する形で一部束上に存在していた(コラーゲン線維に関しては三次元構築は出来ていない) 上皮直下層に存在する細胞は上皮に鍵上に食い込む部分も観察された。予想された神経線維との関係性は、観察サンプルに線維が観察されず、データ取得に至っていない。 2、筋層 筋層内には平滑筋に囲まれる観察細胞が存在し、この細胞は筋層内の神経線維と並走、細胞面で接していた。免疫染色学的にはSK3、PDGFRα陽性だった。観察範囲について60μm程度の立法体範囲で100μm程度まで倍率を下げればその中に幾つかの細胞を拾うことができるが、三次元化の際に細胞膜トレースが難しくなり、膜強調をする固定法について検討する必要があると考えられた。平滑筋との直接接点(例えばgap junction)は観察に至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば病態モデル動物(部分尿道閉塞モデル)を作成し、形態的変化を観察する予定であったが、正常の観察、また観察条件を設定することに予想以上に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
細胞同士、周辺組織とのネットワークを観察に重点を置く必要がある。現在のところ細胞膜トレースを行うには最低で3000倍程度(60μm)で観察しているが、この倍率を下げて、広範囲を観察できる固定(細胞膜コントラスト)を上げる必要がある。 FIB/SEM法で全体像と極小関係性を一度に観察することは難しく、array tomography法による三次元観察がよいとも考える。そのための連続切片作成方法、撮影条件を再度検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
FIB/SEMのランニングコストを計上していたが、機械トラブルがなく計上予算より少なかったため。 今回の実験で病態モデル動物作成まで実験が遂行できず、そのための手術機材等の購入をしなかった。また実験動物購入も少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
現在の画像解析状況では細胞間のコミュニケーションをFIB/SEMで完全に解析することは難しい。 FIB/SEMの特性を生かしていけば画像取得は容易だが、画像解像度と撮影範囲を両立することはできない。 現在array tomographyも併用し、その画像解析状況を比較検討を考えている。そのための連続切片作成を行う機器作成を計画している。
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