研究課題/領域番号 |
15K10636
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐藤 滋 秋田大学, 医学部, 教授 (80187195)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | タクロリムス / 遺伝子多型 / CYP3A5 / ドナー特異抗体 / 腎線維化 / 薬物動態 / 血中濃度 |
研究実績の概要 |
研究目的 免疫抑制薬タクロリムの代謝酵素CYP3A5には遺伝子多型があり、多型によってCYP3A5保有者と非保有者が存在する。酵素を有することでタクロリムスの代謝が早く血中濃度維持に必要な投与量が多くなるCYP3A5 expresser に対して0.3mg/day、酵素がなく少ない投与量で適正血中濃度が維持できるnon-expresser に0.2 mg/dayの初期投与量設計を行い、以下の項目に関し多型別の比較を行い、個別投与量設計によって多型間の相違が消失するかを検討している。 研究実施状況 1) 急性拒絶反応発生率:多型間での差は認められなかった。 2) De novo抗体産生率:Luminex法を用いて移植後1年以内での新規ドナー特異抗体 de novo DSA陽性率を解析。CYP3A5遺伝子多型別でのDSA発生率に差は認められなかった。現在、本課題をさらに進展させ、次期研究課題への橋渡しとなるよう、推進している。 3) 移植後1月・半年・1年のTac-QD薬物動態・薬理遺伝学:多型別初期投与設計することで、移植早期血中濃度の遺伝子多型間に差が消失した。 4) 移植後1年の移植腎組織線維増生率:多型間での移植腎線維増生に差がなくなった。 5) CYP3A5遺伝子多型間での移植後1年までの移植腎線維化に差がなかった成果を、現在論文にして投稿中。また、DSA発生に関する遺伝子多型の影響に関しても論文作成の準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題は複数あり、いずれも論文投稿中あるいは論文作成中である。概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究内容をさらに展開し、移植臓器予後に最も影響を与えるドナーに対する抗体(ドナー特異抗体:DSA)発生率、CYP3A5遺伝子多型を含むDSA発生の臨床的危険因子の同定、DSAによる移植腎予後、等の次期研究への推進を予定し、すでに準備段階にある。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度早期に抗HLA抗体検出用のキットを購入するため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度抗HLA抗体検出用キット購入費に充てる。
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