研究課題
通常で軽度低温環境下にある哺乳類精子形成細胞は、37度環境下におかれると、増殖・分化が阻害される。哺乳類低温ショック蛋白質Cirp及びRbm3 は32度で発現が亢進し、ストレス抵抗性を増し増殖促進作用を示す。Cirpは精子形成、概日リズム、創傷治癒、DNA損傷修復に必要であるが、細胞外に存在すると炎症や癌化を増悪する。そこで、低温ショック蛋白質遺伝子欠損マウスを用いて、個体レベルでその病態への影響を明らかにすることを目的とした。1.Cirp及びRbm3を単独で欠損したマウス、両者ともに欠損したマウスの妊孕性は野生型と差がなく、組織学的にも精巣に異常はなかった。2.Cirp欠損マウスに実験的に停留精巣を作成したところ、手術3-4日後には欠損マウスのほうが野生型マウスに比べ精細胞の減少が著明であった。6日後には差がなかった。3.Cirp欠損マウスでは化学物質による実験的肝癌の発生が抑制された。4.Cirp欠損マウスでは、他グループからの報告に反し皮膚創傷治癒が遅延した。これはCirpからRac1活性化へとつながるシグナル伝達経路が存在するためと考えられた。5.スプライシング因子SRSF5が新たな低温ショック蛋白質であり、いろいろなストレスで発現誘導されることを見出した。6.Cirp、Rbm3、SRSF5の低温による発現誘導には、TRPV4イオンチャンネル蛋白質の発現が必要であることが明らかになった。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
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