研究課題
糖尿病による腎障害により発症する糖尿病性腎症は、日本における人工透析の最も頻度の高い原因で、多くの患者さんが苦しんでいるのが現状である。慢性腎臓病の病気の進行は、腎臓の組織繊維化と密接な関係があることが知られている。しかしながら、これまで、糖尿病性腎症では、組織繊維化は侵襲的な腎生検でしか評価ができず、MRIやエコーなどの画像検査では評価が困難であった。また、最近、糖尿病性腎症では腎生検を行う事は非常に稀になってきている。腎生検に代わる検査として、近年、拡散MRIが、腎臓の繊維化を評価できる可能性が示唆されてきたが、まだ、確立しているとは言えなかった。また、糖尿病性腎症に関しては、組織の浮腫が画像に影響を与えるため、拡散MRIでは評価不可能と考えられており、浮腫の影響によらず繊維化を評価する画像診断が求められていた。申請者らは、拡散MRIを多方向から撮影し画像化したDTI-MRIと、より感度の高い撮影方法であるスピンエコー法を組み合わせた撮影方法を開発し、ラット糖尿病モデルの腎臓を撮影することにより、腎臓の繊維化を画像化することに成功した。従来の方法では、約3時間の長時間のMRI撮影が必要になり、その間腎臓を静止させておく必要があったが、本研究グループは長時間腎臓の血流、温度を変化させることなく静止可能な特殊な器具を開発することで、腎臓を静止させて撮影することを可能にした。この研究成果は、Scientific Reportに掲載された。
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Scientific Reports
巻: 7 ページ: 5731-5731
10.1038/s41598-017-06111-4