研究課題/領域番号 |
15K10651
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
辻村 晃 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40294053)
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研究分担者 |
堀江 重郎 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40190243)
久末 伸一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90404673) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | テストステロン / メタボリックシンドローム / 動脈硬化 / 勃起能 / 排尿機能 / 更年期症状 |
研究実績の概要 |
低テストステロン(T)血症はメタボリックシンドロームに密接に関係することに加え、動脈硬化を助長する因子である。動脈硬化は、血流障害から虚血を招き、性機能・排尿機能症状やlate-onset hypogonadism(LOH)症状を引き起こす要因となることが推測されている。今回、動脈硬化の指標として上腕-足首間脈波伝播速度(brachial-ankle Pulse Wave Velocity; baPWV)を測定し、中高年男性における動脈硬化と関連する症状につき、解析を試みた。対象はLOH症状を有する男性310名(平均年齢50.4 ± 6.3歳)で、T値を含む血液検査は全例午前中に施行した。baPWVはオムロンコーリン社、血圧脈波検査装置にて測定し、性機能症状はSexual Health Inventory for Men(SHIM)とErection Hardness Score(EHS)、排尿症状はInternational Prostate Symptom Score(IPSS)、LOH症状はAging Male Symptoms rating scale(AMS)を用いて評価した。動脈硬化を実測baPWV/年齢相当baPWV比率で5群に分け、関連する因子をJonkheere-Terpstra検定とT値、トリグリセリド(TG)値調整後の線型回帰モデルで解析した。実測baPWV/年齢相当baPWV比率はT値、TG値とともに、EHS(P for Trend 0.039)、IPSS(P for Trend 0.031)と有意な関連性を認めたが、SHIMやAMSとは関連性を認めなかった。IPSSの各スコアに対する線型回帰モデルでは、夜間頻尿(P=0.036)のみ有意な因子であった。日本人中高年男性において、動脈硬化は陰茎硬度に関与するとともに夜間頻尿にも影響すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多数例の横断的な研究成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、健康診断受診者による縦断的な検討で、血中テストとステロン値が低下している男性は、現時点ではメタボリックシンドロームを呈していないとしても、将来的(5年後)にメタボリックシンドロームを呈する可能性が高くなることをすでに確認した。さらに、その際、血中総テストステロン値 4ng/mlを維持することが重要であることが判明した。今後はテストステロン補充療法を施行した患者のメタボリック因子の変化、および動脈硬化の変化、性機能症状、排尿機能症状、更年期症状の変化につき、縦断的な研究を追加する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね計画通りの予算執行であったが、少額が使用できずに残ってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度の物品費の一部として使用予定。
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