研究実績の概要 |
精巣生検組織の病理学的分類からsertoli cell only (SCO, Johnsen score: 2.0)2検体, maturation arrest (MA, Johnsenscore 4-6)2検体, obstructive azoospermia (OA, Johnsen score: 8以上)1検体、ならびに正常検体として妊孕能を有する男性(Fertile men, FE)3検体の精漿を用いてマイクロアレイ解析を行った。各症例群で発現が有意に変動しているmiRNAを抽出したところ、FEと比較して発現が上昇していたmiRNAの数はSCO:178, MA:94, OA:238、発現が低下していたmiRNAはSCO:27, MA:170, OA:12であった。この中から、コントロールであるFE3検体の上限値と比較して2検体とも発現が2倍以上亢進しているmiRNAに絞り込んだところ、SCO,MAともに亢進:7、SCOのみで亢進:17、MAのみで亢進:1であった。同様にFE3検体の下限より2倍以上発現が低下しているmiRNAは、SCO,MAともに低下:1、SCOのみで低下:1、MAのみで低下:4であった。この解析結果をもとに、発現亢進25、発現低下6からなる造精機能障害の評価パネルを作成し、quantitative reverse transcription PCR (qRT-PCR)にてこれらのmiRNAの定量を試みた。しかし、精漿からのRNA抽出が純度・収量ともに安定して行えなかったため、まずは前処理についての検討を行った。フィルター濾過と濃縮により最適な前処理法を確立し、その後qRT-PCRにてmiRNAの定量に着手したが、多数例の解析には至らなかった。
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