研究課題
マウスにおいて、胚が子宮に着床する前段階として、プロゲステロンシグナルによる子宮内膜上皮のスリット状の変化と増殖の停止、子宮内膜間質細胞の増殖が必要であるが、意義・重要性が明らかではない。また、ヒトにおいて採取しやすい子宮頸部細胞を使用した胚受容能の診断マーカーを確立できれば、より効率的な不妊治療へのアプローチができる。昨年度、胚受容能を示す一つの候補として、頸部細胞でのマーカーとして、Lifの発現が上昇することを示したが、今年度はさらに多様なマーカーを探索するために、マウスの胚が着床する前段階(Day3からDay4am)の頸部細胞の遺伝子発現プロファイリングをおこなった。コントロール群として、各時期(Day3, Day4am)の子宮頸部を採取し、凍結切片を作成し、頸部内膜上皮をレーザーマイクロダイセクションで回収、そこからRNAを抽出した。さらに、着床が阻害される際の頸部細胞における遺伝子プロファイリングを行うため、三つの着床不全モデルを採用した。それらは、Day3にプロゲステロン受容体(PR)のantagonist(RU486)投与、エストロゲン受容体(ER)のantagonist(ICI)投与もしくはパラコート投与(酸化ストレス誘導)によって着床が抑制される。これらの各着床不全モデルのDay4 amの頸部細胞を回収し、先ほどと同様に、RNAを抽出した。各頸部細胞から抽出したRNAを用いて、次世代シークエンサーを用い、大規模データを回収した。今後は、これらの大規模データから、マウスにおける胚受容能の遺伝子群を抽出し、ヒトにおいても頸部細胞における胚受容能を示すマーカー候補を抽出していく予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
今年度は、着床時期のヒト細胞を確保するシステムを確立でき、今後は効率的なRNA抽出方法を確立する予定である。獲得した大規模データも解析中であるため、候補遺伝子もスムーズに抽出できる予定である。
研究は順調に進展しているため、今後の研究は当初の研究計画に沿って進めていく予定である。
最終年度研究成果のまとめに際し、必要と思われる経費を残した。
最終確認実験等費用
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 10件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 10件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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