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2016 年度 実施状況報告書

精子運動の活性化と受精率の改善を目指したトランスレーショナル・リサーチ

研究課題

研究課題/領域番号 15K10666
研究機関浜松医科大学

研究代表者

柴田 俊章  浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (50529568)

研究分担者 杉原 一廣  浜松医科大学, 医学部, 准教授 (00265878)
村上 浩雄  浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (10432212)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード生殖補助医療 / 精子 / 糖分解酵素
研究実績の概要

我々は、ヒト精子が多量の糖鎖で覆われ、精子表面への抗体の結合を妨げていることを報告している。精子を覆う多量の糖鎖を分解する目的でエンド-β-ガラクトシダーゼ(EBGase)を添加したところ、精子表面の複合糖質が分解され、精子運動能が亢進することを見いだした。すなわち、精子をEBGaseで処理することにより精子運動の情報伝達に関与するcAMPの増加とカルシウム流入が誘導されること、さらにヒト精子に存在するポリラクトサミン糖鎖と相互作用する受容体はFGFR2であることを明らかにして、精子運動の調節機構を分子レベルで解明した。しかしながら、現在EBGaseは市販されておらず、臨床応用するため、より安定供給が得られる酵素、より活性が高い酵素としてのリコンビナント製剤が求められると考えている。本研究では、不妊治療に貢献しうるリコンビナントEBGaseを同定して“臨床へ橋渡し”することを目的とする。
実施計画の概要は、新規EBGaseの同定・作成、ヒト精子に対する活性の確認、マウスARTにおける薬剤効果・毒性の評価を行うことで、ヒトへの臨床応用に向けて客観的評価を得ていくこととしている。
H27年度で、新規EBGaseを6つ同定し、そのうち4つの大量合成に成功している。引き続き、本年度でヒト精子に対する活性の確認を行った。方法は、新規リコンビナントEBGaseをヒト精子に投与し、運動能を精子運動解析システム(Computer-Aided Sperm Analysis:CASA)により測定している。その結果、大量合成に成功している4つ全てのリコンビナント製剤で以前の報告と同様に、ヒト精子の運動能上昇活性を確認できた。
今後は、現在まで得られている新規リコンビナントEBGaseを臨床応用の候補として計画を進めていきたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実施計画の概要は、新規EBGaseの同定・作成、ヒト精子に対する活性の確認、マウスARTにおける薬剤効果・毒性の評価を行うことで、ヒトへの臨床応用に向けて客観的評価を得ていくこととしている。
計画は順調に進んでおり、当初の計画通り来期でマウスARTにおける薬剤効果・毒性の評価を行うことができる段階まで到達している。

今後の研究の推進方策

実施計画の概要は、新規EBGaseの同定・作成、ヒト精子に対する活性の確認、マウスARTにおける薬剤効果・毒性の評価を行うことで、ヒトへの臨床応用に向けて客観的評価を得ていくこととしている。
来年度は、マウス精子に新規リコンビナントEBGase、新規リコンビナントEBGase +FGF を添加し、運動能を活性化した精子とマウス卵を用いて、体外受精(In Vitro Fertilization, IVF)を行い受精率を算出する。さらに培養液中で受精卵を培養し、胚盤胞への到達率も算出する。また、初期胚ではVeeck分類、胚盤胞はGardner分類を用い、ヒトへの臨床応用を目標に薬剤の効果を客観的に評価する。本研究では、マウス精子と卵を用い毒性試験を行い、新規に同定した薬剤(EBGase)の非臨床試験へと発展させる。
また、H27年度の計画内容であるが、現在まで新規EBGaseとして同定している酵素は6つであるが、大量合成できているのはそのうち4つまでである。さらなる臨床応用に向けての新規リコンビナント製剤候補を増やすため、すべての同定酵素で大量合成を行えるよう昨年度・今年度同様に来年度も継続していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

試薬購入価格割引のため、564円の残金が発生した。

次年度使用額の使用計画

次年度に残金は使用予定として組み込みました。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Enhancement of human sperm motility by novel recombinant endo-β-galactosidases2017

    • 著者名/発表者名
      柴田俊章
    • 学会等名
      SRI 64th Annual Scientific Meeting
    • 発表場所
      米国、オーランド
    • 年月日
      2017-03-15 – 2017-03-18
    • 国際学会
  • [学会発表] Pro-apoptotic peptides as potential treatment for endometriosis2016

    • 著者名/発表者名
      柴田俊章
    • 学会等名
      5th Asian Conference on Endometriosis
    • 発表場所
      Osaka International Convention Center
    • 年月日
      2016-09-22 – 2016-09-24
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 糖鎖を模倣したペプチド型新規分子標的治療薬のマウスにおける抗腫瘍効果2016

    • 著者名/発表者名
      柴田俊章
    • 学会等名
      日本産婦人科学会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム
    • 年月日
      2016-04-21 – 2016-04-24

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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