研究課題/領域番号 |
15K10669
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
遠藤 誠之 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30644794)
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研究分担者 |
玉井 克人 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (20236730)
冨松 拓治 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30346209)
味村 和哉 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50437422)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 胎児治療 / 免疫寛容 / 母体胎児間マイクロキメリズム / 絨毛採取 / 超音波 |
研究実績の概要 |
出生後の細胞移植治療を効果的に行うため、免疫システム確立前の胎児に、特定の細胞を暴露させることで、それらに対する免疫寛容を効率的かつ安全に誘導する方法を開発することを目的とする。先天性表皮水疱症を治療対象モデルとする。細胞の暴露方法としては、ヒト胎児期に行われる侵襲的臨床手技のうち、もっとも早期に行われる絨毛検査の手技を応用する。また、移植する細胞は、骨髄細胞、間葉系幹細胞、血液幹細胞を用いてそれぞれの誘導する免疫寛容を比較する。本課題では、平成28年度は、下記の3つを主たる目標とした。①胎盤内でも母体側胎盤(脱落膜側)と胎児側胎盤(絨毛側)それぞれへの細胞移植により、移植細胞に対して、あるいはその細胞が産生する蛋白に対して、免疫寛容の誘導に違いがあるかどうかを調べること、②母体胎児間マイクロキメリズムのみで、胎児が母体由来細胞に対する免疫寛容誘導が可能かどうかについて確認すること、③免疫寛容誘導を質的評価する方法の確立。①に関しては、胎児側胎盤への正確な細胞移植が、細胞性および液性免疫両方の誘導には必要となることが示された。②に関しては、母体胎児間マイクロキメリズムのみでは、一部の胎児(約10%)に対してしか、母体由来新規蛋白に対する免疫寛容が誘導されていないことが示された。③現在条件設定を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
達成できた点>①胎盤内細胞移植で免疫寛容を誘導するためには、移植する部位を正確に同定することが重要であることが示せた。②母体胎児間マイクロキメリズムのみでは、すべての胎児に母体由来新規蛋白に対する免疫寛容を誘導できないことが示せた。 遅れている点>①免疫寛容誘導を質的に評価する方法の確立のための条件設定ができていない。②iPS細胞に対する免疫寛容誘導実験が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究進捗状況を踏まえ、①iPS細胞をある程度分化させ、同方法を用いて移植することで、免疫寛容を誘導し、出生後に同iPS細胞由来の実質組織を移植し、生着することが可能かどうかを確認すること。②母体胎児間マイクロキメリズムの現象を、薬剤を用いて増強させることによって、より高確率に、胎児が母体由来新規蛋白に対する免疫寛容誘導を行えるかどうかについて確認すること。③免疫寛容誘導の質的評価の確立、等の研究も追加して行う予定にする。
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