研究課題
出生後の細胞移植治療を効果的に行うため、免疫システム確立前の胎児に、特定の細胞を暴露させることで、それらに対する免疫寛容を効率的かつ安全に誘導する方法を開発することを目的とする。先天性表皮水疱症を治療対象モデルとする。細胞の暴露方法としては、ヒト胎児期に行われる侵襲的臨床手技のうち、もっとも早期に行われる絨毛検査の手技を応用する。また、移植する細胞は、骨髄細胞、間葉系幹細胞、血液幹細胞を用いてそれぞれの誘導する免疫寛容を比較する。最終年度は、母体胎児間マイクロキメリズムで誘導された、母体由来新規蛋白に対する胎児における免疫寛容の機序の解明を主に行った。特に細胞性免疫がその中心的役割を果たすことを示したが、中心性あるいは末梢性免疫寛容の区別は未だ示されなかった。研究期間全体で以下のことを示したことが成果である。①絨毛内細胞移植により、胎児にその移植した細胞に対する免疫寛容が誘導できること。(Takahashi K. )②その際、移植する細胞としては、幹細胞では免疫寛容が誘導できたが、非幹細胞では免疫寛容を誘導できなかったこと。③特に、間葉系幹細胞の移植のみでも免疫寛容を誘導することができたこと。④免疫寛容を誘導したい対象蛋白によって、移植する幹細胞を適切に選択する必要があること。⑤絨毛内細胞移植の際に、胎児側胎盤への正確な細胞移植が、細胞性および液性免疫両方の誘導には必要となること。⑥間葉系幹細胞に特化した母体胎児間マイクロキメリズムマウスモデルを作成したこと。⑦母体胎児間マイクロキメリズムのみでも、一部の胎児に母体由来細胞に対する免疫寛容誘導することが可能であること。⑧その免疫寛容のメカニズムは、胎児への直接的な幹細胞移植と同様に、細胞免疫と液性免疫の両方に関連していること。(②~⑧については現在論文作成中)
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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