研究課題/領域番号 |
15K10671
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
原田 省 鳥取大学, 医学部, 教授 (40218649)
|
研究分担者 |
谷口 文紀 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40322218)
伊澤 正郎 鳥取大学, 医学部, 特任教授 (50032222)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 子宮内膜症 / 子宮内膜症細胞 / 卵巣チョコレート嚢胞 / NFκB / TAK1 / IAP |
研究実績の概要 |
慢性炎症を模倣した子宮内膜症モデルマウスを作成して検討した。病巣組織における炎症関連遺伝子発現を定量した。LPS受容体のToll-like receptor (TLR) 4発現、細胞増殖能はKi-67、血管新生はPECAM、T細胞とマクロファージの集簇はCD3とF4/80、NF-κBおよびリン酸化NF-κBの発現を検出した。天然型NF-κB 阻害剤(パルテノライド; Part)投与の影響をみた。LPS投与は、病巣個数とサイズを増加させた。LPS投与により、病巣組織中のTLR4、Ki-67、CD3、F4/80およびPECAMの陽性細胞率は上昇し、NF-κBおよびリン酸化NF-κBの染色強度も増強した。また、Ptgs2、Vegf、Il-6およびCcl2遺伝子の発現が増加した。子宮内膜組織では、LPS投与によりこれらの炎症関連遺伝子発現の影響はみられなかった。これらのLPSによる効果は、Partの併用投与により抑制されたことから、マウス子宮内膜症病巣形成の過程において、NF-κB経路が重要なシグナル経路であることが示唆された。Part投与が病巣形成や炎症反応を抑制したことから、NF-κBを標的とした薬物治療が期待できる成績を得た。次に、新規選択的エストロゲン受容体調節剤であるSR-16234の効果を検証した。LPSを腹腔内投与したのちに,SR16234を連日投与し、4週後の子宮内膜症様病巣について検討した。SR16234投与により、マウスあたりの病巣重量が減少した。LPSにより増加したIl-6、Ccl-2とPtgs-2 の遺伝子発現量は、SR16234により抑制された。Ki-67陽性細胞比率は低下し、CD3、F4/80および TLR4発現も低下した。マウス子宮内膜症様病巣において、SR16234は病巣縮小と炎症抑制効果を示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験計画と異なる薬剤を用いて検討を進めており、予備実験に時間を要したため。
|
今後の研究の推進方策 |
動物実験は概ね順調である。今後は、培養ヒト子宮内膜症細胞を用いて、検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
マウスモデルを用いてTAK1およびIAP機能阻害実験を行ってきたが、継続実験が遅れたため次年度使用を申請した。
|
次年度使用額の使用計画 |
慢性炎症を想定した子宮内膜症モデルマウスを作成して、NF-κB阻害薬の作用について検討していく。TAK1及びIAP阻害剤とともに天然型NF-κB阻害剤パルテノライドと新規選択的エストロゲン受容体調節剤であるSR16234についても、モデルマウス並びにヒト子宮内膜症細胞を用いて検討する予定である。
|