研究課題
慢性炎症を模倣した子宮内膜症モデルマウスを作成して検討した。病巣組織における炎症関連遺伝子発現を定量した。LPS受容体のToll-like receptor (TLR) 4発現、細胞増殖能はKi-67、血管新生はPECAM、T細胞とマクロファージの集簇はCD3とF4/80、NF-κBおよびリン酸化NF-κBの発現を検出した。天然型NF-κB 阻害剤(パルテノライド; Part)投与の影響をみた。LPS投与は、病巣個数とサイズを増加させた。LPS投与により、病巣組織中のTLR4、Ki-67、CD3、F4/80およびPECAMの陽性細胞率は上昇し、NF-κBおよびリン酸化NF-κBの染色強度も増強した。また、Ptgs2、Vegf、Il-6およびCcl2遺伝子の発現が増加した。子宮内膜組織では、LPS投与によりこれらの炎症関連遺伝子発現の影響はみられなかった。LPSによる効果は、Partの併用投与により抑制されたことから、マウス子宮内膜症病巣形成の過程において、NF-κB経路が重要なシグナル経路であることが示唆された。Part投与が病巣形成や炎症反応を抑制したことから、NF-κBを標的とした薬物治療が期待できる成績を得た。次に、細胞死にかかわる inhibitors of apoptosis protein (IAP) familyとその抑制剤の効果を検証した。LPSを腹腔内投与したのちに,IAP抑制剤であるBV6を腹腔内投与し、Partを対照として子宮内膜症様病巣について検討した。BV6 投与により、マウスあたりの病巣数、病巣重量、病巣表面積が減少した。LPSにより増加したIl-6、Ccl-2とPtgs-2 の遺伝子発現量は、SR16234により抑制された。Ki-67陽性細胞比率は低下し、CD3、F4/80および TLR4発現も低下した。また、病巣におけるNF-κBおよびリン酸化NF-κBの発現が抑制された。マウス子宮内膜症様病巣において、IAP抑制剤である BV6 は病巣縮小と炎症抑制効果を示した。本研究結果から、NF-κB 抑制作用を有するIAP阻害薬が新たな子宮内膜症の治療薬となる可能性が示された。
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