研究課題/領域番号 |
15K10672
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
苛原 稔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (20160070)
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研究分担者 |
松崎 利也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (70294692)
岩佐 武 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (00707903)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 多嚢胞性卵巣症候群 / PCOS / 抗ミュラー管ホルモン / AMH / 年齢 |
研究実績の概要 |
多嚢胞性卵巣症候群(poly cystic ovary syndrome : PCOS)は、女性の3~5%、月経不順患者の7割以上を占め、生活習慣病のリスクも高い重要な症候群である。近年、血中抗ミュラー管ホルモン(AMH)濃度の測定が可能となり、PCOSでは血中AMH濃度が高いことが指摘されている。本研究はPCOSの診断基準の改善のため、AMHとインスリン抵抗性の意義を検討することを目的とした。平成27年度は、正常月経周期女性と日本産科婦人科学会のPCOS診断基準で診断した多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者の血液検体を収集した。施設内の倫理委員会の承認のもとで、インフォームドコンセントを得て正常月経周期女性95名(control群)とPCOS患者114名(PCOS群)の血液検体を収集した。血中AMHは、再現性の高いElecsys AMHを導入して測定した。 PCOS群のAMH値(8.35±8.19ng/ml)は、control群(4.99±3.23ng/ml)に比べ有意に高かった(P<0.01)。control群では年齢とAMHの間に強い負の相関関係(r=-0.54、P<0.01)がみられたが、PCOS群ではみられなかった。重回帰分析では、血中AMH値は、年齢およびPCOSの有無の両者から独立した影響を受けていた(偏回帰係数、年齢:-0.212、群分け:0.282)。 PCOSでは血中AMH濃度が高いことが明らかになった。また、PCOS患者でAMHと年齢との相関が有意ではないことから、PCOS患者では年齢以外の因子の影響が大きいことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画では、PCOS患者100例、正常月経周期女性(同意を得た生殖年齢女性、卵胞期中期)100例の検体を収集する予定であり、実際にはPCOS患者114名と正常月経周期女性95名の血液検体を収集し、目標 とする数の検体を収集している。 また、予定通りAMHを測定した上で、各群のAMHの平均値の差を検討し、予想通りPCOS患者の血中AMHが正常女性よりも高いことを明らかにできた。 さらに、PCOS患者と正常患者との血中AMH濃度を、年齢を共変数とした検討藻実施した。このように、計画通りに研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
予定よりも早く検体の収集が完了し、初期の解析を終えたので、平成28年度以降はPCOS患者の血中AMHを規定している因子を明らかにし、インスリン抵抗性との関連を調べる。具体的には、AMHとインスリン抵抗性を含むPCOSの病態に関する各種パラメーターとの相関を検討し、更に、多変量解析による検討を追加して、最終的にはPCOSの診断におけるAMHのカットオフ値を設定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験がスムーズに進み、物品購入が少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に予算執行しなかった分を平成29年度の消耗品に繰り入れ、試薬などの購入に充てる。
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