研究課題/領域番号 |
15K10673
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松崎 利也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (70294692)
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研究分担者 |
苛原 稔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (20160070)
岩佐 武 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (00707903)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | GnRH / キスペプチン / KNDyニューロン / NKB / ダイノルフィン / センクタイド / nor-MNI |
研究実績の概要 |
GnRH分泌を調節する種々の視床下部ペプチドの作用を修飾することで、視床下部性排卵障害におけるゴナドトロピン分泌の抑制が正常化するかを検討するためにラットを用いて実験を行った。 まず、軽度の絶食条件として72時間絶食を用いた。成熟雌ラットを用いて、72時間絶食群(n=8)、72時間絶食+センクタイドip群(0.2mg/day、7日間)(n=8)で、性周期を連日の腟スメアにて検討したが、性周期日数の差は有意ではなかった(5.1日vs4.3日)。 絶食ラットでは性周期を指標とすることが困難なので、指標を血中LHとして、まず成熟雄マウスでセンクタイドの投与量を設定する研究を実施した。成熟雄マウスに絶食を加え、センクタイド4濃度または生食ip後90分および、自由摂食マウスの6群(n=8)で血中LHを検討した。血中LHの差は予想通りセンクタイドの2濃度で改善するパターンを示したた。 6週齢思春期雄ラットで72時間絶食と血中LH、テストステロン(T)を検討したところ、LHは非絶食コントロール群よりも72時間絶食生食ip群で有意に低く、72時間絶食センクタイドip群は絶食生食ip群よりも有意に高く、センクタイドによるゴナドトロピン分泌改善効果が見られた。一方、Tに有意差は無かった。視床下部のkisspeptinなど、生殖関連因子のmRHA発現には有意な所見は見られなかった。なお、雌ラットで同様の検討を行ったが血中LHに差を見られなかった。 以上のように、絶食による性機能抑制、ゴナドトロピン分泌抑制に対するセンクタイドを検討し、一部の条件で改善効果を初めて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画では、絶食およびストレスによる性機能低下モデルラットの作製、絶食ラットに対するセンクタイド投与実験(腹腔内投与および脳室内投与)を行う予定であった。現在までに、絶食ラットで性機能の抑制を確認し、そのモデルを用いてセンクタイド腹腔内投与の実験を実施している。絶食については72時間の短期的な絶食と、長期的な摂食制限での実験を実施し、ラットの雄、雌およびマウスの雌を用い、多種類の摂食制限条件で実験を行った。 一部の絶食条件下で、センクタイドによるLH分泌抑制改善効果を明らかにしていることから、平成27年度の研究は概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降には、絶食については慢性的な摂食制限を加え、性周期を抑制した後にセンクタイドを慢性投与して性機能の改善について検討する。 また、絶食以外のストレス条件でのセンクタイドの効果を評価するために、産褥ラットを用いたセンクタイド投与実験を行う予定である。センクタイド投与の実験が終了したら、内因性のダイノルフィンによる抑制経路に拮抗する作用機序が想定されるnor-BNIを用いた実験に入る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験がスムーズに進み、物品購入が少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に予算執行しなかった分を平成29年度の消耗品に繰り入れ、試薬などの購入に充てる。
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