子宮内膜症は、主に生殖年齢の女性に影響を及ぼす多因子疾患である。この病気の明確な病因は未だ不明である。我々は、子宮内膜症における細菌内毒素(LPS)およびToll様受容体4(TLR4)の役割を研究し、骨盤環境におけるエンドトキシンの源となり得る可能性について調べた。Limulus amoebocyte lysate testを使用して、月経液(MF)および腹腔液(PF)のエンドトキシンレベルを測定し、子宮内膜症の増殖における潜在的役割を調べた。月経血および子宮内膜検体を微生物の存在を調べるために培養した。GnRHa治療が子宮内微生物コロニー形成(IUMC)および子宮内膜炎の発生に及ぼす影響を調べた。リポ多糖類(LPS)は、骨盤内の炎症誘発反応およびLPS / TLR4カスケードによる子宮内膜症の増殖を調節する。月経血はEscherichea coliで非常に汚染され、子宮内膜検体は他の微生物で定着した。GnRHaによる治療は、子宮内膜症罹患女性における子宮内膜炎を引き起こし、子宮内細菌の定着をさらに悪化させる。子宮内膜症性卵巣胞の内容液は非子宮内膜症性卵巣胞に比べStreptococcaceaeとStaphylococcaceaeが有意に増加していた(p<0.05)。子宮内腔ではGnRHa投与群では非投与群に比べLactobacillaceaeが有意に減少し(p<0.01)、Streptococcaceae、Staphylococcaceae、Enterobacteriaceaeが有意に増加していた(p>0.05)。我々は、子宮内膜症における新しい概念「細菌汚染仮説」を初めて提案した。子宮内膜症の女性におけるIUMCの知見は、従来のエストロゲン抑制剤に加えて新たな治療となる可能性がある。
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