研究課題/領域番号 |
15K10678
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大場 隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (50244132)
|
研究分担者 |
副島 英伸 佐賀大学, 医学部, 教授 (30304885)
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90224451)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 胎盤 / 間葉性異形成胎盤 / インプリンティング / 出生前診断 / 胞状奇胎 |
研究実績の概要 |
今回の症例集積により、準備的検討と併せて49症例を集積した。本邦におけるPMD臨床経過の集積評価としては最大の症例数となった。 本邦においても間葉性異形成胎盤(PMD)は児が女児であることと強く関連し、PMDを有する妊娠では約80%が早産に至り、とくにBeckwith-Wiedeman症候群を合併しない児では胎児発育不全や胎児機能不全、そして胎児死亡を呈する危険が高いことが判明した。生殖補助医療との関連は認められなかった。 PMDの診断は胎盤の肉眼的所見ならびに胎盤病理学的検討によってなされてきたが、PMDの病変は胎盤の部位によって大きな差があることが明らかになった。 PMDの本態は胚におけるエピゲノム変異、特にインプリンティング関連領域のメチル化異常であった。PMDの約6割の症例がGWpUPD (androgenetic/biparental) mosaicを示し、残りの4割は正常な両親性を示すことが明らかとなった。両親性PMD胎盤に特化して解析したところ、正常状態では母性メチル化を示すインプリントDMRが複数箇所で有意に低メチル化を示していた。これらのDMRで制御されているインプリント遺伝子の発現は、正常胎盤では片アレル発現であったが、両親性PMD胎盤では両アレル発現を示した。これらの結果から、PMD発生には母性メチル化DMRの低メチル化によるインプリント遺伝子の両アレル発現(過剰発現)が関与していることが示唆された。
|