我が国で実施されている妊婦のStreptococcus agalactiae (Group B streptococcus:GBS) 検査は欧米に比べて未熟であり、検査の見逃しによる新生児GBS感染が発生している可能性が否定できない。GBS検出率向上のため、本研究では臨床検体を用いて、従来法とイムノクロマト(IC) による新規検出方法の検出率や有用性の比較検討を実施した。 ①GBS選択培地+IC法およびGBS選択培地+分離培養法 (Chrom-ID Strepto B agar: STRB) の比較検討:頚管・腟内容377検体を用いて、GBS medium Fを用いて培養したところ、発育あり254株(色素産生あり48株、色素産生なし206株)、発育なし123株であった。また、ICおよび分離培養を実施した。色素産生あり48株ではIC・分離培養いずれも陽性、色素産生なし206株では分離培養で陽性6株(IC:陽性4株、陰性2株)、陰性200株(IC全て陰性)、発育なし123株、分離培養陽性4株(IC:陽性2株、陰性2株)、陰性119株(IC全て陰性)であった。 ②感度、特異度の評価:IC・分離培養陽性54株、IC・分離培養陰性319株、IC陽性・分離培養陰性0株、IC陰性・分離培養陽性4株であることから、感度93.1%、特異度100%、陽性的中率100%、陰性的中率98.8%と算出された。 ③IC偽陰性の評価:4検体の分離培養結果から、GBSのコロニー数に比べてE. faecalis等の菌数が優位であった。この結果から、E. faecalisからの抽出物がICにおいてGBS検出の抗原抗体反応を阻害する可能性、GBSコロニー数が少数であったため、増菌培地中のGBS菌数がICの検出感度以下となった可能性が示唆された。
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